9月13日(日)2015明治安田生命J2リーグ第31節
セレッソ大阪 - 栃木SC (19:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 9~10日にかけて首都圏を中心に猛威をふるった台風18号の影響で、栃木は10日の練習が中止になった。11日は通常通り練習が行われる予定だが、豪雨の影響で練習グラウンドは湖のような状態になっている。この原稿の締め切り時点で選手たちの生の声は拾えていないが、戸惑いや不安を感じている選手もいるかもしれない。

 栃木は、前節からの3週間、天皇杯1回戦(流通経済大学にPK戦の末に敗戦)はあったものの、強度の高いトレーニングメニューで身体にかなり負荷をかけるなど、普段とは異なる調整を行った。残り12試合となったリーグ戦に向けての体力と鋭気を十分に養ってきたわけだが、いよいよセレッソ戦の準備を万全に、というこの時期に見舞われた自然災害…。
 チームの歯車が噛み合わないときとは得てしてこういうもの、とでも考えればいいのだろうか。前節は最下位(当時)の岐阜に敗れて勝点差をわずか1まで詰められた。天皇杯では大学生にまさかの敗戦を喫して傷心状態にあった。そして、さらに――。泣きっ面に蜂、踏んだり蹴ったり、とはこのことである。

 20位に低迷しているとはいえ、第25節・讃岐戦から指揮官が倉田安治監督に代わった栃木は、4-4-2のゾーンディフェンスの堅い守備をベースにした戦いで一度は上昇気流を掴みかけていた。しかし、その流れも前節の岐阜に敗れて寸断されてしまう。ロングボールの多用から全体を前後に揺さぶられ、岐阜のブラジル人選手たちにセカンドボール争奪のパワフルな肉弾戦に持ち込まれて守備組織を破壊された。「どうしてあのような試合になったのか、今でもわからない」(倉田監督)。指揮官にも選手たちにも、明らかにショックの色が滲んでいた。
 ただ冷静に振り返れば、今の栃木が相手のロングボールに苦しんでいるのは事実だ。直近の5試合を見ても、第26節・岡山戦、第27節・熊本戦、第30節・岐阜戦と、ロングボールの処理のもたつきをきっかけに失点している。

 セレッソ側からすれば、ディフェンスラインから栃木のプレッシングが間に合わないくらいの、できるだけ早いタイミングで前線に長いボールを放り込み、玉田圭司や楠神順平らがスピードあるセカンドボールワークで変化をつければ勝負ありだろう。きれいに繋いで崩そうなどと考えると、首位・大宮の二の舞になる。栃木は第28節でディフェンスラインから繋いでくる大宮に対して、キレのあるファーストディフェンダーのプレッシングから、セカンドディフェンダー、サードディフェンダーが次々と強烈な守備の矢を打ち込んで、序盤から散々苦しめた。そうしてボールを絡め取っては、幾度となく高速カウンターを見舞い、当時7連勝中だった首位大宮を最後まで追い詰めた。結果は87分の家長昭博のペナルティーキック1本に泣いた形となったが、NACK5スタジアムのサポーターにどよめきと負けなくて良かったという安堵感をもたらすまでに苦しめたのだ。

 今節のセレッソ戦に、あのときと同じ匂いを感じている選手は少なくない。熊本よりも岐阜よりも“むしろ組み易し”が偽らざる本音である。だからこそセレッソは、しゃにむにロングボールである。一にロングボール、二にロングボール、三、四にロングボールである。くれぐれも中盤での不用意な横パスはしないように留意されたい。それでは栃木のカミソリのような高速カウンターの餌食になる。そのミス1本で勝負は決まってしまう。

文・鈴木康浩

試合前日の監督・選手コメント
プレビュー:中断明け、9月初陣となる栃木戦。今季初のリーグ戦3連勝を今こそ全力で取りに行く
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