10月4日(日)2015明治安田生命J2リーグ第35節
セレッソ大阪 - アビスパ福岡 (17:00KICK OFF/ヤンマー)
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「敵を知り己を知れば百戦危うからず」。今シーズンのアビスパ福岡には、この言葉がよく似合う。他を圧倒する力を発揮しているわけではない。どちらかと言えば、対戦相手にボールを支配される試合は多い。金森健志、亀川諒史、中村航輔ら、リオデジャネイロ・オリンピック出場が期待される若手選手はいても、リーグを代表するようなスーパースターがいるわけではない。しかし、対戦相手を緻密に分析し、自分たちの実力を客観的に見つめて、「どんなサッカーをするのか」ではなく「どうやって勝つのか」に注力して戦ってきた。34試合を終えて16勝10分8敗の4位に付けて自動昇格をも視野に入れているのは、そうやってコツコツと勝点を積み重ねてきた結果だ。

 さて、前回対戦時(第11節)はセレッソ大阪に1-0で勝利している福岡だが、セレッソは当時とはメンバーも戦い方も違う。「前線のタレントは揃っている。守備もよりコレクティブになっている印象もある。簡単には行かない相手。ダブルボランチのところのパワーもあるし、両サイドバックも含めて、どこからでも点が取れるチーム。そのへんを全て抑えなければいけない、大変な試合になる」と井原正巳監督も警戒心を強める。
「もっとも警戒すべき選手」として井原監督が挙げたのは、山口蛍、扇原貴宏のダブルボランチ。守備能力が高いのはもちろん、奪ったボールを攻撃につなげる能力が高い2人の存在は、攻守に渡ってタレントぞろいのセレッソを動かず原動力。この2人の働きを制限することが、福岡の勝利にとって必要不可欠だ。とりわけ重要な役割を担うのは鈴木惇、末吉隼也のダブルボランチ。このマッチアップで優位に立つことがカギになる。

末吉は次のように話している。
「相手のボランチはチームの中心。どれだけ縦パスを入れさせないかが大事になる。それを入れさせたら、ほかのタレントの高い選手にもチャンスを生ませてしまう。まずはマッチアップの部分で負けないことはもちろん、マッチアップしないところでも後ろからFWの選手を動かして、どれだけ効果的なパスを入れさせないかということが大事になる。ただ、精神的にも身体的にもいつも通りに準備を怠らなければ、いい結果は出ると思う。そもそも大事な試合は自然にモチベーションが上がるもの。気負ってしまってガチガチになったら意味はない。いつも通りに臨みたいと思う」

そして、注目されるのは井原監督の采配。個の能力、選手層で上回るセレッソは、福岡対策というよりも、いかに自分たちのサッカーを表現するかに重点を置いてくるはず。その相手に対して、3バックなのか、それとも4バックで臨むのか…。今季ここまで磨いてきた「どうやって勝つのか」を、井原監督がどう表現するかにも注目したい。

文・中倉一志

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