10月10日(土)2015明治安田生命J2リーグ第36節
セレッソ大阪 - ギラヴァンツ北九州 (16:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 セレッソ大阪のサポーターは、ギラヴァンツ北九州というチームにはあまり馴染みがないだろう。簡単に説明すると、J2参入6年目、強弱を問われれば「したたかさを内包する中堅どころ」といったところだろうか。Jリーグ参入初年度が最下位に終わってしまったことや、新参であるがゆえに「下のほう」と言われてしまうこともあるが、J2での5シーズン中3シーズンは1ケタ順位でフィニッシュし、ほとんどのシーズンで後半戦のほうがより良い結果と内容を手にしている。

 チームを率いているのは、3年目の柱谷幸一監督。そしてキャプテンとしてイレブンを引き締めているのがセレッソサポーターにとっても記憶に新しいだろう前田和哉だ。同じくセレッソOBである井上翔太、小松塁も主戦級の選手として、特にゴールに直結する仕事を果たしている。彼らはJ1で得た経験をまだJでの歴史の浅いチームにフィードバックし、高い位置に押し上げようと汗をかく。その姿も、今節で頼もしく見てほしいと願う。

 さて、そうは言っても北九州は現在12位で、この位置に甘んじていいとは誰一人思っていない。顔見せに大阪に乗り込むわけではなく、もちろん勝点3を手にするべく最善の準備と最大限の闘志を持ってピッチに立つ。今や黄色いユニフォームが似合うようになった前田はこう言う。「セレッソは昇格争いのプレッシャーがある中で戦ってくる。その相手に勝たないと、いざ自分たちがそうなったときに負けてしまう」。
 北九州はJ1クラブライセンスを得られず今季昇格の望みはないが、2017年に新スタジアムが完工してそのチャンスが巡ったとき、この終盤戦に強い相手に挑んだ経験が生かされるはずだ。前田は目の前の1試合と何十節も先の未来を同時に見通し、強い相手にも一切の妥協を許さない。

 柱谷監督は「1人1人の能力が高く、ミスもしないし、パススピードも速い。ベーシックな能力が高い」とセレッソの個の力を警戒。「粘り強く守備する必要がある。シュートを打たせないようにするとか、(打たれても)フリーではやらせないとか、シュートブロックに入るとか、最後のところで粘らないと簡単にやられてしまう」と話し、実際に練習でも球際の強さを強調。守備陣に粘り強さを求めた。

 北九州は攻撃陣も上り調子だ。前節は横浜FCと対戦し3-1で快勝を収めた。特にセレッソが古巣の井上翔太と、川崎フロンターレから移籍して北九州でほとんどの試合に出場している風間宏希のコンビネーションから2得点。「宏希とはちょっと距離感が遠かったので、前に出てきてもらうように言った。近いとアシストもできるし、宏希も決めた」と井上。対セレッソには「やってやりたいという気持ちもあるが、あまり意識はせずに…。個の質は(前節の)横浜FCよりも高いと思うので、ちょっとしたことでやられないようにしたい」と淡々と話していた。
 また前節でもゴールした小松塁は、現在12ゴールで得点ランキング6位タイにランクインしている。前節の試合中に2度の厳しいプレスを受けて負傷退場しているが、コンディションを戻してゴールへと向かいたい。 

 昨季はJ1ライセンスがない中で5位と健闘した北九州。今年も残り試合を勝ち越し、一泡吹かせることができるか。終盤戦再ダッシュのカギとなるセレッソ戦は、力の差に関係なく全力で取りに行く。

文・上田真之介