11月8日(日)2015明治安田生命J2リーグ第40節
ツエーゲン金沢 - セレッソ大阪 (13:00KICK OFF/石川西部)
試合写真・コメントなど チケット
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 第19節・福岡戦の勝利を最後に、金沢は未勝利の長いトンネルに突入した。その間、11分8敗。「まずは無失点で試合を進める」スタイルの金沢だが、14試合連続(第23~36節)で失点を喫した時期もあった。
 第33節・長崎戦の引き分け(1-1)でチームは原点に立ち返り、守備ブロックの位置を下げ、手応えを得る。ただ、“手応え”を勝利という“結果”に結びつけるプロセスに苦しんだ。第34節・熊本戦、第35節・栃木戦と2戦続けてホームで試合終盤に追い付かれる。下位との勝点差も縮まり、今季最大の目標である「J2残留」も絶対安全とは言えなくなった。第37節・岡山戦は相手に救われた面もあるが15試合ぶりに無失点試合を達成。しかし第38節・北九州戦でも、先制を許して前がかりとなった背後を突かれ0-4の大敗。

 そして、前節・大分戦。金沢は1-0で20試合ぶりの勝利を収め、悲願だったJ2残留を確かなものとした。これまでずっと勝てなかったのは事実だが、負けが続いたわけでもなく、引き分けが多い。拾った「1」、「2」を失って残った「1」。様々な勝点「1」を拾い集めてきたと言えるだろう。

 残留を決めて、ホームにセレッソを迎える今節。
「また開幕したときのような気持ちで臨めるような気がしている。失うものはない、あとは1つでも上に昇るだけ(作田裕次)」、「強いチームとやるのは楽しみ。失うものは何もないので、思い切りぶつかっていける(原田欽庸)」。
「失うものはない」。しばらく聞かれなかったフレーズが、選手のコメントに帰ってきた。ずっと聞きたかったその言葉は、シーズン序盤の合言葉だ。つまり、今の金沢はあの頃の良い状態にあるということ。

「個々のレベルが高い。だからチャレンジする甲斐があるし、思い切りできる(辻正男)」、「上にいるチームで、戦力もすごく揃っている。前期の対戦で勝ちはしたが、ああいう展開に持っていくのは難しい。玉田選手・田代選手がいるし、エジミウソン選手も入った。大変な試合になりそう(作田裕次)」、「前回対戦では、玉田選手に危ないヘディングシュートを打たれた。速くて動きがある選手は捕まえにくい(原田欽庸)」。選手たちは、対戦を楽しみにしつつ警戒も緩めない。

 狙うは良い守備から良い攻撃の体現。今春のJ2を席巻していた迫力あるカウンターを、最近あまり見せられていないのは選手たちも重々承知。久々の勝利を機に積極性を取り戻したその先に、5カ月ぶりのホームスタジアムでの歓喜がある。

文・野中拓也