11月23日(月・祝)2015明治安田生命J2リーグ第42節
セレッソ大阪 - 東京ヴェルディ (14:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 昨季20位に終わった現実から、今季の新体制発表の場で竹本一彦ゼネラルマネージャー(GM)は「9位以上」を目標設定だと話していた。大型補強もなく、アカデミー出身の20代前半の選手がチームの大半を占めるチーム事情を考えれば、至極妥当な数字といえた。だが、いざ開幕してみると予想以上に若手の成長とチーム熟成の速度は早く、冨樫剛一監督の設定していた『シーズン勝点50』を第31節でクリア。一時は3位まで浮上するなど、J1昇格プレーオフ圏内をキープし続けた。

 だが、現実はそこまで甘くはなかったようだ。第31節で『勝点50』を超えてから、第41節までの10試合で積み上げた勝点はわずかに6(1勝3分6敗)。最近の3戦も未勝利(1分2敗)で、ついにプレーオフ圏内から7位に落ちるという、まさに崖っぷちというのが現状である。6位・長崎との勝点差は2。東京ヴェルディにとって今節は、J1への挑戦切符を手にすることができるかが決まる運命の一戦だ。

 前半戦のように勝点が積めなくなった原因はいくつもあるが、ひとことで言うなら『J1の壁』ではないだろうか。前半戦は、相手が「東京V対策」を講じてくることはほとんどなかった。だが、上位争いを繰り広げたことで状況は一変。杉本竜士、高木大輔といった若く運動量とスピードのあるFWからの激しいプレスによって高い位置でボールを奪うというストロングポイントを封じるべく、自陣に引く相手が増えた。そして、大宮、磐田、千葉など個々の能力が高い選手が揃い、自分たちの戦い方を変えない攻撃的な上位チームとのガチンコ勝負に全て敗れた。「これが今の自分たちの実力」。高木大の言葉がすべてだろう。
 すでにプレーオフ進出の決まっているセレッソ大阪に対してどのような戦いをするのかは、東京VがJ1へ挑戦するに値するかの試金石と言えよう。

 また、若い東京Vの選手たちにとっては、山口蛍、玉田圭司といった現あるいは元・日本代表の肩書きを持つ選手たちと直接対決できるセレッソ戦は非常にモチベーションが上がるもの。なかでもボランチ・三竿健斗は、憧れの山口と対戦できたことで「大いに刺激を受けた」と言う。あの試合はルーキーで開幕スタメンを飾った三竿だが、その後もコンスタントに試合に出続け、19歳ながらU-22日本代表にも選ばれた。最終戦で、1年間の成長を証明できるか注目したい。 

 また、セレッソに在籍したこともある中後雅喜は、今やピッチ内外において東京Vの核といえる存在。豊富な経験から、今大事なのは「内容ではない。どんな形でも勝つこと」だと厳しい表情で語る。「昇格のチャンスなんて滅多にない。せっかくの機会を逃したくない」。古巣サポーターの前で何としても意地を見せたいところ。
 
 最終節までJ1昇格プレーオフ進出をかけた緊張感ある試合ができること、その相手がセレッソというJ1クラスの戦力を有するチームであること。まだまだ発展途上のヤング東京Vにとっては、全てが良い経験でこれからの貴重な肥やしになっていくはずだ。6位・長崎の状況にもよるが、「勝てば、自分たちの手で未来が変えられる」という状況の中で迎える最終節。リーグ戦を締めくくる好ゲームを見せてほしい。

文・上岡真里江