11月29日(日)2015 J1昇格プレーオフ準決勝
セレッソ大阪 - 愛媛FC (15:30KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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 シーズン開幕前、まさか愛媛FCがJ1昇格プレーオフに食い込んでくるとは思っていなかったのではないだろうか。一般的なサッカーファンだけでなく、愛媛ファンであっても、この躍進を予想できた人は少なかったはずだ。
 そもそも、今季の愛媛の目標はシーズン勝ち越しだった。木山隆之監督は当初、「それさえも難しい目標だった」と考えていたが、「想像以上に選手たちの頑張りがあった」とチームは指揮官の予想を遥かに上回る躍進を見せ、シーズンを5位でフィニッシュ。クラブの予算規模、過去の実績を考えればサプライズと言うべき快進撃でリーグ戦を駆け抜けた。

 現時点での調子は上々と言うべきだろう。リーグ戦直近5試合の戦績は4勝1敗。第41節・福岡戦でこそ0-1の惜敗を喫したが、それ以外の4戦では危なげのない快勝を見せた。それまでやや湿りがちだった攻撃陣も、この5戦で10得点とV字回復。今季リーグ最終節、徳島との“四国ダービー”でも3発快勝。宿敵さえも寄せ付けない勢いを見せつけた。J1昇格プレーオフという短期決戦において、この“勢い”が何よりも大きな武器になることは過去のプレーオフでも実証済みだ。

 攻撃のキーマンは、やはりエースの河原和寿。今季も昨季に続いて2季連続で2ケタ得点を達成し、チームのトップスコアラーとなる11得点を挙げている。この河原の中盤でゲームメイクをしたかと思えばゴール前の絶好機に顔を出す神出鬼没ぶりは、セレッソからすれば厄介極まりないだろう。もちろん、ホーム・ニンスタで行われたセレッソ戦(第27節)で、試合終了間際に逆転決勝弾を決めていることも忘れてはいないはず。

 ただ、愛媛からすればこの試合においてドローは敗退を意味する。少なくとも1度はゴールネットを揺らす必要がある。それもあってゴールは喉から手が出るほど欲しいはずだが、それに意識が向きすぎて先制点を許すことになれば窮地に追い込まれることは必至。アグレッシブに勝負をかけつつ、リーグ屈指のタレントを擁するセレッソの攻撃陣を封じなければいけないことは至難の技に近い。しかし、それでも愛媛は挑戦者たる勇敢さを見せるだろう。その“チャレンジスピリット”こそが愛媛の最大の武器なのだから。

文・松本隆志