4月17日(日)2016明治安田生命J2リーグ第8節
セレッソ大阪 - ギラヴァンツ北九州 (16:00KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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 今季、北九州は石神直哉を新たなる左サイドバックの武器として迎え入れた。石神は18クラブの3回戦総当たり、全51節という伝説的死闘を繰り広げた2009年シーズン、セレッソの主力として試合出場を続けJ1昇格切符を手にした1人だ。この石神の加入で、セレッソに所属したことがある北九州の選手は前田和哉、小松塁、井上翔太、石神直哉の4人にのぼる。全員が、現在の北九州では主力どころ。セレッソの「人材輩出力」には恐れ入るところだし、彼らの活躍を温かく見守ってくれているのではないかと思う。

 彼らセレッソ出身選手たちを先頭に大阪に乗り込んでいくが、北九州のチーム状況は芳しくない。目下3連敗中で、前節は横浜FCに0-4と大敗している。J1規格のスタジアムが来春には完成するため、揚々はつらつとJ1を目指して戦わねばならないのだが…。20位(1勝1分5敗)で足踏みをしているいま、首位のセレッソが相手だからといって「勝点1でいいから持って帰ろう」という甘い気持ちではなく、必死で勝点3をいただきに行くことになる(そうしなければならない)。

 では、北九州にとってのセレッソ対策のポイントは…と言えば、やはり柿谷曜一朗だ。
 前田和哉は「山村(和也)もいいくさびを入れてくるし…」と選手を例示しながらクレバーに相手を分析したが、セレッソを知り尽くした前田であっても、柿谷に関してはその掴みどころのなさに頭をひねる。「あとは曜一朗…。展開力や一瞬のスピードがあるので、気をつけないといけない」と言葉を選びながら渋い表情を浮かべた。中盤で対抗する井上翔太も「攻撃は曜一朗に入ってからというイメージがある。前を向かせ、自由にさせたら怖い」と話す。 

 古巣に対する思いという点でも選手には聞いたが、「意識するところはあるが、いつものようにやれればいいのかなと思う」(井上翔太)というのが本音のところ。いかんせん北九州は今年に入ってまだ1勝しかしていないし、昨季もセレッソとは2戦2敗。この状況をひっくり返すことが先決だ。おそらくは柿谷を軸にセレッソが主導権を握って試合を展開する時間は長いだろう。だが、セレッソを巣立った北九州の選手たちが、セレッソの持つ掴みどころのない選手や力のある選手たちに正面から立ち向かう瞬間もきっと訪れる。ぜひとも、彼らの活躍も注目して見てほしい。

文・上田真之介