7月20日(水)2016明治安田生命J2リーグ第24節
セレッソ大阪 - FC町田ゼルビア (19:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 FC町田ゼルビアには、セレッソ大阪をホーム迎えた開幕戦 が「今季のベストゲームだった」と振り返る選手もいます。結果は0-1の敗戦でしたが、シュートの数は16-7と町田が優勢。チャレンジャーらしい積極性を、攻守に出せた試合だったからです。10,112人というクラブ史上最多の観客数が集まった(桜色の皆様のご協力もあり)ことも含めて、今季のJ2の戦いに手応えを感じられる90分でした。

 セレッソは皆さんもご記憶の通り、開幕戦から第8節まで無敗で勝ち進みました。町田の初勝利は第3節・山口戦(2-0)でしたが、そこからの5連勝、11戦負けなしという快進撃を見せ、やはり首位に立った時期があります。

 しかし今の町田は勝点を積み上げるペースが落ちています。相手も当然、町田に強みを出させない工夫をしてきます。J3では展開が膠着しても個人能力で上回れましたが、J2だとそういうアドバンテージはありません。
 ただ、町田がコンパクトで整った守備組織、激しいプレス、速さと厚みを兼ね備えた速攻という強みを捨てることはありません。相馬直樹監督も「ベースのところがなくなってしまうと良くない」「枝葉にこだわりすぎて自分たちを見失ってはいけない」と口にしています。

 そもそも今の8位、勝点36という成績は、町田にとって想定以上のモノ。3年目を迎える相馬監督の積み上げがあるからこそです。高望み、自分たちに対する過大評価は、今季の後半戦と今後に向けたブレーキになりかねません。組織が崩れて個人能力の勝負になり、新しいスタイルへの切り替えに時間を浪費してしまったら、町田は予算規模通りの順位に落ちてしまうでしょう。

 町田にとってセレッソ戦の懸念材料は、DFラインが薄くなってしまったことです。元セレッソのセンターバック金聖基は第22節・山形戦で右足関節脱臼骨折の重傷を負い、復帰まで4カ月を要する見込み。今節は同じセンターバックの深津康太が、累積警告で出場停止になっています。

 センターバックはカルフィン ヨン ア ピンと畠中槙之輔がコンビを組むことになるでしょう。ヨン ア ピンは清水で4年半プレーし、昨季はケガで苦しみましたが、町田で絶賛復活中。あるJ1クラブが今夏の移籍ウィンドウで獲得に動いた能力の持ち主です。畠中はまだ20歳ですが、足元の技術が高く、彼が今季先発出場した11試合で町田は1敗しかしていません。原稿を書いているうちに、不安より期待が大きくなってきました…(笑)

 攻撃陣は鈴木孝司、中島裕希の2トップが“鉄板”です。ただ鈴木孝は5試合、中島は12試合もノーゴールが続いています。一方でサイドハーフの中村祐也が3試合連続得点中と絶好調。位置取りの良さ、シュートもうまさが光っています。そろそろ相手チームも中村の動きを研究してくる頃でしょうが…。そうなれば鈴木孝、中島のマークが緩むはずです。

 今季の町田がおもしろいのは、首位を快走しているときも順位を8位に落とした今も、試合展開は常に“ぎりぎり”ということです。J2はクラブごとの実力が接近したリーグということも確かですが、楽勝も大敗もなく、7敗はすべて1点差です。どんな相手でも試合が終わる瞬間まで可能性のある試合を必ずしていて、そういう意味ではスペクタクルなチームです。このセレッソ戦も、きっとタイムアップの瞬間まで目の離せない、スリリングな展開になるはずです。

文・大島和人