9月18日(日)2016明治安田生命J2リーグ第32節
ギラヴァンツ北九州 - セレッソ大阪 (14:00KICK OFF/本城)
試合写真・コメントなど チケット
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 セレッソ大阪サポーターに強烈なインパクトを与えたと思う本城陸上競技場も、今季限りでJリーグ戦の会場としては役目を終える。来年以降も本城の陸上競技場としての役割は続くが、おそらくセレッソサポーターのみなさんが本城に足を運んだり、映像で90分を通して眺めたりするのは、これが最後の機会になるだろう。

 ということで、サッカーの本筋からは外れるが、本城に来たら味わっておいてほしいポイントを3つほど紹介しよう(もちろんサッカーの話は後段でするが、前回対戦 でも後半アディショナルタイムに決勝点を決められているので、担当としてはあまり触れたくないという思いが多分にある)。

その1:得点板
 最初からメインディッシュを味わっていただく感じだが、往時の藤井寺球場を彷彿させるような人力に頼ったスコアボードはぜひ思い出に写真に残しておいてほしい。アウェイ席だとスコアボードの直下まで行って見上げられるので、その点はアウェイサポーターの特権でもある。また、選手ベンチ裏とバックスタンド前に置かれる選手名のボードも電光掲示ではなく、名前入りのボードを差し込んでいく。スコアボードも含めてボランティアによって交換作業が行われる、ぬくもりの伝わる名物だ。

その2:ピッチ
 2年連続ベストピッチ賞受賞の本城のピッチは本当に美しい。前節は本城に徳島を迎え、かつて北九州でプレーしていた木村祐志(徳島)が「やっぱり本城は蹴りやすいですね」とコメント。その言葉通りに目立った活躍をしていた…。イレギュラーバウンドが起きにくく、パスが通しやすい。決して地上戦にはならないかもしれないが、そういう瞬間があるときには本城だからこそできるパスワークの美しさに魅せられてほしい。

その3:スタグル
 本城陸上競技場は北九州市の八幡西区と若松区の区界付近にあり、スタジアムグルメや物販エリアでは特に若松区の産品が並んでいることが多い。北九州市といえば新スタジアムもできる市中心部の小倉や港町の門司港が、観光地としても、ご当地グルメとしても知られている存在だが、北九州市西部の本城に訪れるのであれば、ぜひ八幡や若松の名物に舌鼓を。

 そんな具合で本城を存分に味わっていただいたら、ぜひ勝点3を置きみやげに本城に残していってほしい。さて、セレッソに関連したところでいえば、長身FWの小松塁、キャプテンの前田和哉はいずれも今年はケガ含みのかなり厳しいシーズンを送り、最近はほとんど試合に出られていない。井上翔太も今季はコンスタントに出られていないが、直近のリーグ戦では3戦連続でピッチに立ち左からのチャンスメイクに関わった。ただ、彼らの試合出場の有無にかかわらず、スタジアムで見かければ温かな言葉を掛けていただければと思う。

 ギラヴァンツ北九州は現在21位。J2残留争いの只中にあり、前田は試合に絡めない歯がゆさを感じながらも、「1つ1つのプレーに役割とか目的を持たなくてはいけない。意味があってやられているし、意味があってできていない」と窮状を訴える。今季、北九州はゲームの閉じ方をことごとく失敗し、セレッソとの前回対戦のようなアディショナルタイムでの失点が相次ぐ。この時間帯を耐えられるか、それとも最後の時間帯で「役割」がばらばらになってやられるか。北九州にとっては今節を含め毎試合が正念場だ。

 もちろん、最も幸せなストーリーは、最後の何分かを心配する必要もない圧倒的なゲームにすること。上位チームに勝てば自信も付くだけに、真っ向勝負で挑みたい。

 文・上田真之介