6月4日(日)2017明治安田生命J1リーグ第14節
セレッソ大阪 - アルビレックス新潟 (15:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 今シーズン2度目のキンチョウスタジアム参上となるアルビレックス新潟。3週間前(5/10)のルヴァンカップで対戦 したときは、監督交代という一大事のさなかにあった。
 三浦文丈前監督が休養し、片渕浩一郎コーチが暫定的に指揮を執った試合は、無失点で前半を折り返した。当時のチームはそれすら難しく、戦う姿勢が戻ってきた吉兆と感じられたのは、決して大げさな話ではない。
 0-0のまま進んだ試合は、結局、79分に丸橋祐介のフィードがゴール手前で大きく弾むと、GK守田達弥の頭上を越えてネットを揺らし、決着した。弱り目にたたり目のような敗戦だと、周りには映ったかもしれない。

 それでも関西学院大学卒のルーキーMF森俊介が初先発を果たし、リーグ戦に絡めていなかったセレッソのアカデミー出身であるFW河田篤秀、GK稲田康志もメンバー入り。チームには新たな力が注入された。
 森は13分に利き足の左で放ったロングシュートをはじめ、トリッキーなドリブルで右サイドから何度も仕掛けた。河田も79分から途中出場すると、限られた時間ながらゴールを奪おうと奮闘。柏から今シーズン加入した稲田は、メンバー入り自体が初めてで、出番こそなかったが、まるでピッチ上の11人の1人であるかのようなテンションで仲間を鼓舞し続けた。

 呂比須ワグナー新監督の就任が発表されたのが、この試合の翌日だ。
 新監督就任の初戦となったリーグ第12節・北海道コンサドーレ札幌戦(5/20)に1-0で勝利すると、映像で振り返るミーティングでは「良いプレーには拍手しましょう!」と呂比須監督自ら持ち込んだフライパンを打ち鳴らし、沈みがちなチームを盛り上げた。

 ブラジル出身で元日本代表FWの新監督は、選手たちの心の機微に気を配りつつ、サッカーのディティールにこだわるまなざしは冷静だ。5/31のルヴァンカップ・ヴィッセル神戸戦(●0-1)を念頭に、「セレッソは、神戸と同じようにテクニシャンがそろっている。前線には長身で、ボールを収められる選手もいる。パスコースを消しながら、少ないチャンスをきっちりモノにしたい」と、堅守速攻という現実的な戦い方に集中する。
 ルヴァンカップでのセレッソとの前回対戦を最後に、U-20ワールドカップ出場のためチームを離れていた原輝綺もチームに合流した。高校卒ルーキーながら、開幕から出場を重ねる原の世界大会でのプレーぶりも映像でチェック済みの指揮官は、コンディションを見極めた上で起用の可能性を示唆する。

 呂比須監督と選手たちは改めて1つになり、再生の道を歩み始めた。厳しい試合になるのは覚悟の上だ。

文・大中祐二