5月2日(水)2018明治安田生命J1リーグ 第12節
名古屋グランパス - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/パロ瑞穂)
試合写真・コメントなど チケット
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 24年ぶりとなるリーグ戦8連敗中の名古屋のチーム状態は、お世辞にも良いとは言えない。8連敗のうち6試合で3失点を喫している守備陣の再構築は急務で、11戦で11得点と振るわない攻撃陣にも課題は山積。どんな形でもいいから、まずは2カ月ぶりの勝点が欲しいというのが本音と言っても過言ではない。しかしあくまで軸足は攻撃に置き、攻撃的にそれを求めるのが風間八宏監督率いる名古屋だ。セレッソ大阪という強豪を相手にしても、そのスタンスは1ミリも変わらない。

 ただし、「自分たちらしさ」の中でなにをするかの範囲は広がってきている。前節のFC東京戦では前線のジョーの能力を最優先に活かすダイナミックな展開を躊躇なく選び、ショートパス主体の普段着のサッカーの割合を下げて現実的にも戦った。昨季からの武器であるガブリエル シャビエルのセットプレーはホーシャという強力なエアバトラーを得たことで迫力を増し始めており、味スタでもジョーとホーシャが1得点ずつを挙げて追撃の勢いを演出した。珍しいことに名古屋がここまで挙げているリーグ11得点すべてが彼らブラジル人が記録したもので、ジョーとシャビエルが4得点ずつ。DFのホーシャが3得点と局地的な強さは見せているのが現状だ。
 今回の対戦では連敗を止めたい思惑を考えても、上記の戦術を前面に押し出してくることは間違いなく、その一点集中によってパスサッカーのイメージとは真逆のパワフルな名古屋が見られる可能性は十分にある。

 それでも、戦前の予想としては苦戦をイメージするほうがたやすい。この連敗を呼び込んでいる要因の1つはもちろんディフェンスの不備にあるわけだが、特に問題を抱えているのがカウンターへの対応だからだ。スタイルの特性上、人数をかけて攻めることが多いために、名古屋の自陣は常に広大なスペースを相手FWの前にさらしている。昨季のJ2ではそれも選手のクオリティーと相手のミスによってそれほどの“ケガ”をせずに済んでいたのだが、J1のレベルはその隙を見逃してはくれないようだ。
 そしてセレッソには柿谷曜一朗や杉本健勇というカウンターの名手がおり、そこにチャンスボールを落とせるパサーも数多く在籍する。名古屋がこの課題にうまく折り合いをつけられていなければ、今回も要らぬピンチを自ら呼び寄せることになるだろう。試合の見どころは間違いなく、その駆け引きとせめぎ合いの部分にある。

 古巣対戦という観点から名古屋を見ると、過去セレッソに在籍した選手では玉田圭司や佐藤寿人、長谷川アーリアジャスールらの名前が上がる。佐藤は「すばらしい時間を過ごさせてもらったクラブです。自分はあまりチームに貢献できなかったですけど、その時にセレッソのサポーターから受けた愛情というのは心強かったですし、自分がチームを離れてもブーイングではなくいつも温かく迎えてくれます」と穏やかな表情を浮かべる。今でも連絡を取り合う友人が多いという長谷川も、「昨季2冠しているし、良い選手がたくさんいることはわかっていたけど、躍動している姿を見てうれしい反面、自分ももっとやらなくちゃって思っていました。(山口)蛍や(水沼)宏太、今も仲間がたくさんいるセレッソと試合ができるのはすごく楽しみです」と笑顔。
しかし、両名ともに最後には「でも、こっちはそれどころじゃない。難しい相手だけど、勝たないと…」と闘志を燃やしていた。

 名古屋にとっては、屈辱の9連敗でホームの大ブーイングを浴びることだけはなんとしても避けたいところ。昨季は天皇杯(4回戦)で惜敗した相手でもあり、1年越しのリベンジとしても負けたくはない。強い意気込みと勝利への執念を心に滾らせて、名古屋はセレッソを全力で迎え撃つ。

文・今井雄一朗