8月19日(日)2018明治安田生命J1リーグ 第23節
V・ファーレン長崎 - セレッソ大阪 (18:00KICK OFF/トラスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 5月に行なわれた前回の対戦 では、勝負どころを逃さないセレッソ大阪に対して、ミスから失点を重ね3-1で敗れたV・ファーレン長崎。「踏ん張れないのが我々の力のなさ、甘さ」と、試合後に高木琢也監督が指摘したとおり、チームとしての成熟度の違いを見せつけられた格好だが、それからの約3カ月間で新たに取り入れた変化を武器に、長崎はセレッソ戦へ挑もうとしている。

 長崎はJ2時代から堅守速攻をベースのスタイルとし、その中で攻守のバランスを調整して戦ってきたが、速攻の裏には「ボール奪って時間がかかるほど得点ができない」という弱点が存在した。この弱点を克服すべく、リーグ中断期間に徹底したボール保持率の改善に着手。パススピードや判断の早さを向上させた結果、試合でもボールをつなげるシーンが着実に増えてくるようになった。さらに、オランダから強さと経験を持つDFヨルディ バイスを獲得して守備の再構築も推し進めた結果、上位相手に互角以上の戦いができるようにもなっている。

 それでもなお、セレッソは長崎にとって高い壁だ。清武弘嗣、柿谷曜一朗、杉本健勇といったアタッカー陣はもちろん、絶対守護神のキム ジンヒョン、鋭い動きのソウザ、丸橋祐介と松田陸を擁する両サイド…。どこを見ても質の高い選手が揃うだけでなく、高木監督が「セレッソはサッカーを知っている。個だけでなくチーム全体でゲームをコントロールできる」と評するように、チームの経験値や総合力でも長崎との間には大きな差がある。だからこそ、この差を埋めるには、長崎の伝統であるハードワークや新たに取り組んでいるボールのつなぎといったチームの総力を結集して戦うしかない。

 前節の鹿島アントラーズ戦でも後手に回った末に完敗を喫してしまった長崎だが、「反省点や改善点を押さえた上で、もう1回チャレンジすることを忘れずにいきたい(髙杉亮太)」と、セレッソ戦では再びアグレッシブに戦うことを誓っている。さらにコンディションの問題から出場できるかは微妙だが、古巣であるセレッソへの思いが強い黒木聖仁も今回の対戦に出場できれば並々ならぬ決意で戦ってくれることだろう。

 それらチームの持つ全ての力と選手個々の想いが組み合わさったとき、戦力差をひっくり返せることは、長崎とセレッソのJ2時代の対戦成績(2勝2敗)が証明している。J1残留へ一歩も引けぬセレッソ戦へ長崎は今、熱く静かに集中しキックオフの笛が鳴るのを待ち続けている。

文・藤原裕久