8月25日(土)2018明治安田生命J1リーグ 第24節
セレッソ大阪 - サンフレッチェ広島 (19:00KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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 天皇杯から中2日。それはセレッソも広島も同じであり、条件は変わらない。どちらも120分の熱闘を演じていることも同じ。どちらもターンオーバー制をしき、リーグ戦の主力格とすれば広島は林卓人や水本裕貴、セレッソはキム ジンヒョンや山口蛍、オスマルらが天皇杯に先発しているくらい。コンディションはどちらも同様だとみていい。天皇杯の結果そのものは明暗が分かれてしまったが、その影響はリーグ戦には繋がらないものだ。

 セレッソには苦い記憶がある。第15節、チャンスの数では上回りながら、1本のロングボールに対する対応を誤って失点。そのショックを引きずり、「靴一足分の寄せ」を怠って2失点目。浦和時代から何度も苦汁をなめてきた高木俊幸にやられてしまう屈辱を受け、今季初の完封負けを記録してしまった。

 そのリベンジを果たしたいという想いは、当然ある。しかもこの試合では、セレッソが広島のやり方を徹底して分析。サイドチェンジを多用して幅広くピッチを使うことで広島の「集結」を崩そうとする、今に続く「広島対策」の先駆けをつくった。だからなおさら、彼らに対して「成長」を見せ付けなければタイトル獲得など夢のまた夢だ。

 正直、今の広島はセレッソに対して特別なことを考える余裕はない。後半戦に入り、戦績は2勝2分2敗。前半戦は17試合8失点と鉄壁だった守備も後半戦は6試合10失点。前半戦は12試合の完封試合を演じていたのに後半戦はわずか1試合のみで複数試合が3試合。得点は11得点(平均1.83得点)と前半戦の平均1.53得点よりも向上してはいるものの、広島がここまで首位を保てているのは何といっても堅守。そこが崩れている現実から目をそらすことはできない。相手のことよりもまず、堅守をベースにした自分たちのサッカーを取り戻す。そういう意味では、最近2試合5得点と攻撃陣が好調なセレッソにチャレンジするのは大きな試金石だ。

 前節の川崎F戦では、一瞬の判断の是非が問われる厳しいプレスの中で2失点、今季初の逆転負けを喫した。ボールを奪った後のプレー選択に問題が残ったが、城福浩監督は「確かに授業料は安くはなかったけれど、それ以上のことを学んできた自負はある。だからこそ、次のセレッソ戦は負けられない」と視線を向ける。ただ、広島だけの問題ではないが、やはり天皇杯での120分が大きな負荷となる。スタメンの平均年齢は他のチームと比較しても高く、特に水本裕貴や千葉和彦といったCBの重鎮たちがフルタイムを戦ったことも心配の種。さらに青山敏弘や柏好文、パトリックとオーバー30世代が長い時間を戦ったことも厳しい。

 ただ、「延長を戦うことは想定外でしたが、スプリントの多い闘いではなかった。回復力は他のどのチームに対しても負けないつもりです」と指揮官は強気だ。昨年のキンチョウスタジアムでセレッソのカウンターに為す術なく敗れ、崩壊の一歩手前まで追い詰められた屈辱を。5月のエディオンスタジアム広島、2万人のサポーターの前で敗戦した悔しさを。選手たちは今も、忘れてはいない。

文・中野和也