9月9日(日)JリーグYBCルヴァンカップ 準々決勝第2戦
セレッソ大阪 - 湘南ベルマーレ (19:00KICK OFF/ヤンマー)
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 攻勢を傾ける28分のことだった。ボランチの金子大毅から素早く縦に繋ぐと、推進力をそのままに松田天馬がゴール前へと躍り出る。左足を振り抜き放たれたシュートはセレッソ大阪の守備陣の間隙を突き、ネットを射抜いた。

 直近のJ1第25節・浦和レッズ戦から中3日でアウェイ連戦を戦うセレッソに対し、湘南ベルマーレは同V・ファーレン長崎戦から中4日でこの日のホームゲームを迎えていた。日程の利は少なからずあったかもしれない。彼らはそのうえで、走力と攻守の切り替え、出足や球際といった自分たちの大切にすべきをまっとうし、多くの局面で先手を取った。

「相手のスピードに崩されてしまった。走りと運動量で負けた」尹晶煥監督がそう一戦を苦々しく振り返った ように、後半に入ってなお湘南の攻勢は止まない。守から攻へと鋭く転じ、かたや柿谷曜一朗を中心に導かれるセレッソのカウンターにも素早く反応してピンチを防ぐ。70分には松田のパスに右サイドを抜け出した岡本拓也を経て梅崎司がゴールを奪い、さらにその5分後には、ドリブル突破した山根視来の折り返しを金子が仕留めた。

 ゲーム終盤にはセレッソの度重なるクロスやセットプレーからフィニッシュに持ち込まれた。幾度か枠を脅かされもしたが、秋元陽太を中心に身を挺してこれを阻み、最後までアウェイゴールを許さずに勝利の長い笛を聞いた。

「非常にタクティカルにプレーしたと思う」曺貴裁(チョウ キジェ)監督は選手たちの戦いぶりに目を細めた。ただ湘南には、ホームで初戦を取りながらアウェイで苦しめられた仙台とのプレーオフステージの苦い記憶がある。第2戦を1-3とし、アウェイゴールを決めたことで辛くもプライムステージ進出を決めたくだんの戦いでも、第1戦をこの日と同じく3-0で制していた。そしてスコアはもとより、頂点を知るセレッソがこのまま終わるはずがないという一同の想いは、続けて語られた指揮官の言葉 に集約される。
「第2戦も同じようにうまくいくとは限らないし、逆にうまくいかないのではないかと僕は思っている。セレッソは非常に個人の能力が高いし、ホームゲームではこの点差を挽回しようとしてくるに決まっている。次の一戦に集中したいと思います」

 こんなに早く次の試合に切り替えることができるのは前回の仙台戦の経験があったからだと、曺監督は語った。彼らの心は、第1戦の長い笛が響くや次のアウェイに飛んでいた。

文・隈元大吾