11月6日(火)2018明治安田生命J1リーグ 第28節
セレッソ大阪 - 名古屋グランパス (19:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 名古屋にとってはここが踏ん張りどころの一戦となった。前節の神戸戦はホームに40,000人超のサポーターを集めるも、アンドレス イニエスタ とルーカス ポドルスキ のビッグネーム2人に翻弄され、敗戦。さらに他会場で鳥栖が長崎を下して順位を上げたことで16位の降格圏へと転落してしまったため、チームの危機感は今季最大級に強まっている。この試合は台風で延期となり未消化だった分で、これまで他クラブよりも1試合少なかったということもあり、勝てば再び鳥栖を追い越せるという意味でも、その重要性は高い。

 夏の7連勝ののち、3連敗、1勝、2連敗となかなか安定感を出すことができない名古屋だが、敵陣に入れば夏場と変わらぬ攻撃の迫力は出せる。現在得点ランクトップのジョー(21得点)は厳しいマークに遭ってここ5試合1得点と低調に見えるが、前線で起点になるパワーと高まった守備意識を考えればチームへの貢献度はむしろ今まで以上。司令塔ガブリエル シャビエルも負傷から復帰し、切り込み隊長の前田直輝も好調を維持しており、崩しのバリエーションは非常に多彩で破壊的だ。
 そして本人もセレッソとの対戦を楽しみにしている玉田圭司は現在絶好調。幅広いプレーエリアを確保しゲームメイクを一手に引き受け、守備にも運動量豊富、そして前節でJ1通算99得点目を決め、古巣対決では100点目なるかという節目を迎えてもいる。「それはあまり意識しないけど」と玉田は不敵に笑ったが、延期分の古巣戦にこうした巡り合わせがあるというのは、彼の“持っている”ところを感じずにはいられない。

 名古屋は対戦相手をあまり気にしないチームだけに、監督も選手もそれほどスカウティング的なコメントは残さないが、試合当日が25歳の誕生日である和泉竜司は「守備が堅くて、最終ラインが大きいイメージ。セットプレーも強い」と端的にセレッソの特徴を語る。クロス対応も含めた守備面は、攻撃にステータスをほぼ全部振っているチームゆえの泣き所ではあるが、この正念場にあってはそんな問題は気にしていられない。風間八宏監督は「『お前ら気持ちが足りねえぞ!』って言えばいいものじゃない。“気持ち”といっても、自分がやろうした時に技術の裏付けがなければできないんだから」と精神面の強調を嫌ったが、こと自陣ゴール前に関しては「このシュートを打たせない」「このシュートを何が何でも止める」という気概がその一歩を伸ばすこともある。丸山祐市や中谷進之介といったセンターバックの要たちには、気迫のディフェンスに期待したいところだ。

 しかし、セレッソにとっても上位はあきらめられないところであり、名古屋と同様に勝てば勝点は純増する。週末の32節を前に8位から6位にまで上げられる可能性がそこにあれば、残留争いにも負けない強度の高いゲームを展開してくることは間違いない。
 上位を狙うモチベーションと、残留を願う執念のぶつかり合いがどのような結果を生むか。少なくとも名古屋にとっては危機感ありありで臨む一戦に、好ゲームの予感は漂っている。

文・今井雄一朗
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出場停止:DF櫛引一紀