4月10日(水)JリーグYBCルヴァンカップ 第3節
セレッソ大阪 - 名古屋グランパス (19:30KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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 ルヴァンカップでは未だグループ首位を走る名古屋グランパスだが、それ故にだけでなく重要性の増す戦いとなった。金曜日に行われたリーグ前節で、名古屋は鹿島アントラーズに逆転負け。勝てた試合を落としたという悔しさだけでなく、ここまで安定感を見せていた守備でも脆さを見せてしまったことで、選手の間には危機感が生まれているからだ。

 もちろん選手の入れ替えは、この10日ほどの過密日程を考えても行われる。だが、チームを主力や控えという考え方で分けず、そのタイミングでのベストメンバーというとらえ方をする名古屋にとっては、敗戦から直近の試合である今回のセレッソ大阪戦が、鹿島戦の改善や修正を見せるべき試合にもなってくる。選手は違っても、やることは同じ。名古屋らしい攻守をしっかりと表現することで、週末のリーグ戦への勢いに変えていきたい気持ちはやはりあるだろう。

 選手たちも意気込んでいる。ルヴァンカップの前2試合でスタメンを張った選手たちは揃って集中力を高めており、例えばU-20日本代表の伊藤洋輝や菅原由勢は先月の欧州遠征で感じた海外の強豪国とのギャップを埋めるべく、それぞれに取り組みをもって臨む。伊藤はアルゼンチン代表から感じとった対人プレーの強さと執拗さを、菅原も同様に対人を意識しつつも攻撃参加に自分の生き残る道を見る。若手の台頭がひとつの見どころであるこのカップ戦において、こうした10代たちのやる気と意欲は試合を持ち上げるすばらしいエッセンスになってくれるはずだ。

 選手の入れ替えという面では、リーグ戦メンバーに食い込むための絶好のアピールの場としても、今回の戦いはおもしろい要素が詰まっている。マテウスや前田直輝といったドリブラーたちの競演や、長谷川アーリアジャスールという強力なライバルが出現した赤崎秀平の飢餓感も頼もしい。今節はサイドバックとして登場しそうな相馬勇紀には、昨季のキンチョウスタジアムでリーグ初得点 を決めたいきさつもある。虎視眈々と主力の座を狙うプレーヤーたちのモチベーションは、リーグ戦の好成績を支えるチーム競争力の源であり、今季のルヴァンカップの滑り出しの良さを支える彼らの底力を形成しているものとも言える。

 今年はパロマ瑞穂のホームゲームがこの時期になく、会場隣りで見られる「日本のさくら名所100選」に数えられる山崎川の桜を楽しむことができない。その代わりと言ってはなんだが、ここはセレッソで花見としゃれこみたいところ。もちろん名古屋が勝って、散る桜の花びらをお供に…である。お覚悟を。

文・今井雄一朗