5月22日(水)JリーグYBCルヴァンカップ 第6節
セレッソ大阪 - 大分トリニータ (19:00KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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「自分に矢印を向けなければいけない。こういう試合をしていると、J2に落ちるぞ」
 リーグ戦前節・清水エスパルス戦に引分けた後、ロッカールームから片野坂知宏監督の怒号が聞こえた。低迷する清水に「なんとなく勝てるだろう」との油断があったのかもしれない。試合の入り方が悪く、相手の前線からの圧力に屈した。清水は監督が交代した直後の試合だったため、システムやメンバーなど不確定要素が多かったにしても、「我々がこれまで積み上げてきたサッカーができなかった」ことに指揮官は激怒したのだ。

 今季もGKを含めた最終ラインから攻撃を組み立てる大分トリニータだが、そのパスワークを支えているのは選手のポジショニングだ。誰かがボールを持てば、何人もの選手が顔を出してくる。ただ、清水戦のように相手が最終ラインやボランチへの圧力を強めてきたときに、少しでもポジショニングが悪くなると、選手が顔を出してもパスコースがなくて、結局センターバックやGKに戻して大きく蹴る形になってしまう。失点の場面は、GKに戻すパスをカットされたものだった。

 ただ、引分け自体、悪い結果ではない。リーグ戦は7戦負けなし(4勝3分)で3位、ルヴァンカップもC組2位。これまで、ルヴァンカップではリーグ戦から先発を総入替えしていたが、今節はリーグ戦での不甲斐ない試合を払拭し、勝てば自力でグループステージを突破できる状況もあり、片野坂監督は「コンディションは優先しながら、勝つためのメンバーで臨みたい」と明言している。
 選手たちは指揮官の叱咤激励を受け、「今日みたいな試合をしないように気持ちを切替えたい」(藤本憲明)、「相手がどうこうではなく、自分たちができることをしなければいけない」(岩田智輝)と目の色が変わった。

 監督も選手も勝つためにアウェイに乗り込む。セレッソ大阪とは今季ここまで1勝1分、3度目の対戦だ。手の内を知り尽くした相手である。策士ロティーナ監督が率いるタレント軍団に、今一度、組織として高い意識と強い覚悟をもって挑む。
 この試合に限っては、相手がセレッソというよりも自分たちに矢印を向け、試合で起こり得る現象を、自分自身の意思を持って結果に導くことが求められる。

文・柚野真也