7月13日(土)2019明治安田生命J1リーグ 第19節
セレッソ大阪 - 名古屋グランパス (19:00KICK OFF/ヤンマー)
試合写真・コメントなど チケット
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 まだまだ上を狙える9位というポジションで今節を迎える名古屋グランパスだが、危機的状況とはいかないまでも正念場のような戦いにはなってくる。なにしろ最後に勝点3を手にしたのは5月12日のことであり、リーグ戦だけでも7試合連続で勝利から見放されている(2分5敗)のである。自慢の攻撃力も湿りがちで、依然としてリーグ上位の総得点数は誇るが、ここ7試合で7得点は名古屋というチームの特性を踏まえれば少ないと言わざるを得ない。守備力で相手を跳ねのけるのではなく、攻撃力で圧倒するのがスタイルだ。それが得点の難しさに直面しているのだから、重症といえば重症である。

 なにもかもが悪いわけではないから、逆に厄介なところもある。風間八宏監督はこの間、常に「内容は悪くないし、試合はウチが支配している。決定機も多い」と試合内容については合格点を与え、「やっぱり仕留める部分」と決定力の不足に苦境脱出のカギを見る。選手たちの意見も同様で、長谷川アーリアジャスールはその上にさらなる臨機応変さを求めた。「監督の求めているもの、チームとしてやろうとしていることをやるのも1つ。でもシーズンが半分終わって、相手は名古屋に何をすればいいかがわかっている。そこを上回るためにはもっとみんなが高い意識を持って、どういう状況判断をするかを考えるべき」。
 サッカーで最も難しい作業である得点を頼みとするチームスタイルは、どれだけ自分たちで試合を支配しボールを管理するかにリスクマネジメントの要点がある。アーリアはそこをピッチ上で柔軟に対応していくことで、試合の安全性を高めたいとするわけだ。

 後顧の憂いがなくなれば、前線に欠ける人数は自ずと増え、1つの決定機に関わる人数が増えれば決定力も上がってはいく。前節から3バックを採用している名古屋だが、その3バックの中央を預かる中谷進之介ですら今なおオーバラップを躊躇しないのだから、彼らは闘争心を失うどころか増していると言っていい。最終ラインにはすでに2得点を決めている宮原和也や、これまで幾度となく敵陣ペナルティーエリア内で仕事をしてきた吉田豊が候補として有力で、その選手選考だけでも風間監督があくまで前で勝負しようとしているのは明白。
 中盤にはエドゥアルド ネット、ジョアン シミッチの外国籍ボランチコンビがあらゆるチャンスの芽に目を光らせ、前線にはジョーと相性の良い前田直輝が絶好調で待っている。直前のトレーニングでも彼らは見事なコンビネーションを披露しており、流れを変える起死回生の一発を期待する向きも多い。

 ルヴァンカップで乗り込んだヤンマースタジアムでの試合は0-3の完敗 だった。メンバーも大会も違うが、同じ場所で同じ相手に負けたくないというのは選手たちの偽らざる心情に違いない。
 チームには太田宏介という新加入選手も加わり、「自分が入って巻き返すというイメージを持っている」と意欲十分。彼が起用可能となる次節を少しでもストレスのない状態で迎えるためにも、今節は是が非でも勝ちたいところはある。ちなみに前述のアーリアは太田とは無二の親友だとか。「相棒が来たって感じですよ」と喜ぶ彼の親友アシスト&古巣恩返し弾なんて生まれれば、名古屋は一気に乗る気がしているのだが…。

文・今井雄一朗