8月14日(水)第99回天皇杯 3回戦
セレッソ大阪 - レノファ山口FC (19:00KICK OFF/みらスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 カテゴリーが違うため、セレッソ大阪が最後に明治安田生命J2リーグでプレーした2016年以降、リーグ戦での対戦はない。ただ、今年は2月に「2019Jリーグプレシーズンマッチ」で当たっており、双方が主軸となる選手を並べた。試合は高井和馬のクロスに吉濱遼平が合わせてゴールを挙げ、これが決勝点となって レノファ山口が1-0で勝利している。

 山口で、当時から比べて大きく変化しているのがシステムだ。4-3-3をベースとしていたが、現在は主に3-4-3を採用。リーグ戦前節(8/10・土)の柏レイソル戦では、左ウイングバックの高木大輔(※高木俊幸選手の末弟)のクロスに、夏に新加入した右ウイングバックの石田崚真が飛び込んでゴールを決めるなど、両ウイングバックを生かした攻撃を強化している。石田は移籍元のチーム(ジュビロ磐田)で天皇杯2回戦に出ているため山口では出場できないが、誰が出てもこのようなウイングバックが絡む攻撃で決定機を作っている。

 セレッソサポーターで記憶している方も多いと思うが、山口は伝統的にハードワークを惜しまず、ゴールになだれ込むように人数を掛けていくチームでもある。2016年5月の明治安田生命J2リーグ・第13節 では後半に入って怒濤の攻撃で3点を挙げ、セレッソに逆転勝ちした。このときの得点者は小池龍太と鳥養祐矢。小池はのちに柏レイソルに移籍し、今夏にはベルギー2部への挑戦が決まった。鳥養はチーム最古参のプレーヤーとして今も山口のユニフォームを着る。伝統スタイルの継承者でもあり、天皇杯では鳥養らしいタフネスを見せつけてくれるかもしれない。

 山口にとって、今週はかなり厳しい日程となっている。アウェイでの柏戦を終え、中3日でこの天皇杯を迎える。そして中2日で再びアウェイの地でJ2リーグ戦をヴァンフォーレ甲府と戦う。霜田正浩監督は「柏、セレッソ、甲府と、ともすればJ1リーグのような対戦。クラブの総合力が問われ、団結力が必要」と厳しい連戦であることを認めた上で、「意図的にいろいろなことをやらなければいけないが、基本的には目の前の試合を勝ちに行く」と強調。クラブ初となるラウンド16進出に向けて、天皇杯にも熱が入る。

 プレシーズンマッチで得点を決め、プレースキッカーとしても信頼されている吉濱遼平は、個の力のあるチームとの対戦に際し、「プレッシャーがなくてもプレッシャーがあるように感じる『圧』のようなものがJ1レベルのようなところにはある」と話した。この「圧」をまだ山口はかわせず、柏戦は結果的には1-4の大敗。そこから中3日で立ち直り、圧をいなして山口らしい前のめりなサッカーができるのか。サッカーのベースはできてきているだけに、メンタル面の好不調が結果を左右しそうだ。

 なお、セレッソからの期限付き移籍となっているためGK永石拓海は出場できないが、永石自身はGK陣の競争を勝ち抜こうと練習にも気持ちが入っている。スタジアムで姿を見かけたなら、ぜひ永石にも熱い応援をしてほしい。

文・上田真之介