12月7日(土)2019明治安田生命J1リーグ 第34節
大分トリニータ - セレッソ大阪 (14:00KICK OFF/昭和電ド)
試合写真・コメントなど チケット
---------

 6年ぶりにJ1に復帰した大分トリニータは今季、1度も降格争いをすることなくシーズン当初の目標に掲げた「勝点45で残留」を3試合残してクリアした。プレッシャーから解放されたチームが、いかなる方向へモチベーションのベクトルを傾けるのか興味深く見ていた。来季を見込んだ戦いを選択するのか、1つでも順位を上げようと切磋琢磨するのか。その間に今季の躍進を導いた片野坂知宏監督の続投が決定したこともあり、指揮官は徐々に来季の体制つくりを進行しながら、「終わり方」を見定めている。

 ルヴァンカップを含めて今季4度目の対戦となるセレッソ大阪とは、ここまで1勝1分1敗と五分であるが、シーズン後半は苦戦した大分と対象的に尻上がりに調子を上げている。片野坂監督は「力のある選手がいて、守備が固い。厳しい試合になると思う」と表情は厳しい。課題は明確で、「しっかりとボールをつないで相手を剥がし、チャンスを作って得点を狙う形はできているが、決定機で精度が足りずに得点できていない」(片野坂監督)。
 この課題は対戦相手がしっかりスカウティングしてきたシーズン後半から抱える難題でもあり、来季に向けて少しでも改善しておきたいところだ。緻密かつ堅実な戦術に定評があるロティーナ監督の下、守備網が整備されたセレッソにひと泡ふかせることができたなら、「終わり方」の印象はずいぶんと変わり、来季へのステップボードにもなる。

 今週の練習では今季の総決算として、後方からパスをつなぎ、試合を組み立て、主導権を握るスタイルを省みた。個々の役割の明瞭化、ポジショニングの整理、リスク管理の徹底。この3条件を満たすことができれば、勝利はぐっと近くなる。そして、来季も降格争いに巻き込まれないために、欠かせぬ要素となってくるはずだ。

 キリンチャレンジカップに臨むU-22日本代表に選出された大分アカデミー出身の岩田智輝は、「力のある攻撃陣の多いセレッソをゼロに抑え、勝ってシーズンを終えたい」と力を込める。他の選手たちも同じ思いのはず。

文・柚野真也