4月19日(日)2015明治安田生命J2リーグ第8節
セレッソ大阪 vs ザスパクサツ群馬 (16:00KICK OFF/ヤンマー)
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 この原稿を書く前に過去の対戦データをひも解いてみたら、思い出したくない記憶がくっきりとよみがえってきた。
 このカードの通算成績は群馬の1勝1分8敗。特筆すべきは総得点8に対して25点も奪われているということ。群馬は、若き香川真司や乾貴士が在籍していた2007~2009年に打ちのめされた苦い経験を持つ。

 リーグ屈指の破壊力を誇るセレッソと今節対戦するのは、正直、気が引ける。
服部浩紀新監督のもとスタートを切った群馬は、開幕4戦を1勝2分1敗で乗り切ったものの、第3節でブラジル人FWタンケが左ひざ前十字靭帯断裂で戦線離脱、エースが消えたことで状況は一変した。第5節以降、3連敗。選手層の薄さ、確立されない戦術、指揮官と選手のイメージの違いなど…いくつかのマイナス要因が絡み合い、チームは急降下している。

 今季、新体制で新たなスタートを切った群馬だが、充実した戦力補強ができたとは言えなかった。平繁龍一(現熊本)、ロビーニョ(現京都)の2トップの流出を止められずに攻撃はゼロからのリスタートを余儀なくされた。クラブは攻撃陣の補強を進めたが、結果的にタンケ、オリベイラ、アクレイソンの新加入ブラジル人に頼らざるを得なかった。
 だが、それが誤算だった。頼みの綱だったタンケが離脱。オリベイラは練習に取り組む姿勢と守備意識に難がありベンチを温める日々。アクレイソンは守備力こそあるが、プレー精度に欠ける。3選手が軸になれないことで目論みは大きく狂った。これは日本人選手を含めて戦力を確保できなかったフロントの責任でもある。

 立て直しを図る群馬は前節から4−2−3−1の新システムを採用し、再構築に取り組む。
チームの中心は、3年ぶりに復帰した主将・松下裕樹。中盤の底で攻守にわたってチームを鼓舞する彼の魂がチームの核。前線の核弾頭となっているのはチーム得点ランクトップの大学卒ルーキー江坂任。左サイドで果敢に仕掛けるプレーで攻撃をけん引する。最終ラインのキーマンは右サイドバックの久富良輔。ダイナミックなオーバラップでサイドをえぐるプレーはチーム好調のバロメーター。この3選手が躍動することが、セレッソ戦勝利の絶対条件だ。

 連敗阻止をかけて大阪へ乗り込む群馬だが、苦しい状況であることは間違いない。セレッソの攻撃を食い止めて逆襲を仕掛けることが勝利の得策。コンパクトなスペースに相手を押し込め、自由を奪えるかがカギだ。松下は「ハングリーな気持ちでぶつかっていく」と悲壮な覚悟で敵地へと向かう。

2002年の産声を上げた群馬だが、創始者の一人はセレッソの元副社長・故大西忠生氏(群馬元社長)。2006年に志半ばで他界した大西氏は、山本五十六が発した「男の修行」という言葉を唱え続けてチームを支え続けた。

「苦しいこともあるだろう  云(い)い度(た)いこともあるだろう ~中略~ これらをじっとこらえていくのが男の修行である」(大西バージョン)

 群馬はJFL時代の2004年の天皇杯4回戦でセレッソと対戦。がむしゃらな戦いを見せて、当時J1だったセレッソから大金星を挙げた。今節、群馬がどんな戦いを見せるか。「男の修行」を実践した先にだけ、勝点3が待っている。

文・伊藤寿学

セレッソOBからのコメント


●夛田凌輔選手(元セレッソ大阪U-18、セレッソ大阪)
「セレッソは、U-18からお世話になって選手として育ててもらった場所。小さいときからサッカーを観に行くときはセレッソの試合でした。自分はセレッソの選手をみてプロに憧れ、努力をしてきたので、今でも特別なチームです。セレッソを離れて4年目になりますが、今でもセレッソの結果をチェックしていますし、常に気になります。サポーターの方々には多くの応援をしていただき感謝しています。これからも努力していくのでよろしくお願いします」

●大津耀誠選手(元セレッソ大阪U-15、セレッソ大阪U-18)
「最近は試合から外れてしまっていますが、セレッソ戦でチャンスをもらえたら、これまでの分をすべて取り返すつもりでプレーします。セレッソU-18時代のコーチには選手としてのすべてを教えてもらったので、成長をゴールという結果で見せて恩返しをしたいと思っています。群馬に来て2年目になりますが、セレッソU-18時代に応援してくれたサポーターに成長した姿を見せたいと思います」