3月6日(水)JリーグYBCルヴァンカップ 第1節
大分トリニータ - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/昭和電ド)
試合写真・コメントなど チケット
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 J1リーグ開幕戦、アウェイで鹿島アントラーズ戦に勝利し、幸先よくスタートした大分トリニータだったが、落とし穴は大きかった。前節の松本山雅FC戦では相手の策略にハマった。知将・反町康治が大分の攻撃をシャットアウト。大分の特徴であるGKからつなぐビルドアップを前線の3人が鍛え上げられたプレスで無効にし、サイドにボールを経由させず、前線へのパスの供給も断ち切った。シュート1本に抑え込まれる完敗だった。

 敗因はほかにもある。試合後に片野坂知宏監督は、「甘さが出た。アウェイで鹿島に勝ったことで、なんとなくやれる、なんとなく勝点が取れると思ったのかもしれない」と振り返ったように、J1を代表する強豪・鹿島に勝ったことで自信が過信となった。サッカーの鉄則である球際の勝負は甘く、最後まで熱量は上がらなかった。

 前節のリーグ戦での敗戦を糧に、仕切り直しとなるのがJリーグYBCルヴァンカップ。昨季まで戦っていたJ2リーグ戦と異なり、ミッドウィークにあるカップ戦は、大分にとって6年ぶりの経験であり、大きな意味を持つ。
 片野坂監督は「カップ戦もリーグ戦も同じ。勝ちにこだわり、プライムステージを目指す」と意気込むも、先発全員を総入れ替えする大胆な手を打つことも考えられる。大分のチーム事情を考えれば、主力と控えを明確に区別するほど先発組のプレーが突出しているわけでもないが、リーグ戦2試合出場した選手を出場させて疲労を溜めては先々を考えても得策でない。これまで出場機会を得られなかった選手たちにとってチャンスとなりそうだ。それと同時に選手の士気を上げ、選手層に厚みを加え、チームを活性化することができる。 

 高校卒新人ながらJ1第2節でJデビューした高畑奎汰 は「(プロとして)一歩目を踏み出したばかり。プロとはこんなものだとはっきりわかってはいないが自信はある。ガンガン得点に繋がるクロスを上げたい」と意気込んだ。彼は、大分の至宝でありセレッソのキャプテンでもある清武弘嗣と同じ道程を歩んできた後輩にあたる。小学校は地元のサッカー少年団である明治北SSCから大分U-15に加入。U-18を経てトップ昇格した道程も同じ。かつて清武を大分U-15にスカウトした片野坂監督が、「センスがいい。特に視野の広さが高いレベルにある。デビュー戦でも戦力として起用して、積極的にプレーしていた。これからはもっとこだわってプレーしてほしい」と期待する逸材である。将来の大分を背負う逸材に、ぜひ注目してほしい。 

文・柚野真也