3月4日(土)2017明治安田生命J1リーグ第2節
浦和レッズ - セレッソ大阪 (14:00KICK OFF/埼玉)
試合写真・コメントなど チケット
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 浦和レッズにとって、セレッソ大阪は嫌な対戦相手になるだろう。なぜなら、今シーズンの浦和が直面させられた課題を修正できているのかどうかを強く問われる一戦になりそうだからだ。

 ほとんどのチームにとって3月1週目の試合は今シーズン2試合目になるが、浦和の場合は早くも5試合目となる。リーグ戦とACL(AFCチャンピオンズリーグ)を並行して戦っていることに加え、シーズン開幕を告げるFUJI XEROX SUPER CUP(2月18日)にも出場したからだ。浦和はセレッソ戦までの公式戦4試合で2勝2敗の成績を残しているが、2敗を喫したのはいずれもJリーグのチーム、具体的にはゼロックス・スーパーカップで戦った鹿島アントラーズ(3-2)とリーグ開幕戦の横浜F・マリノス(3-2)である。

 敗因も共通している。浦和のスタイルを熟知したチームが鋭いカウンターを仕掛けたことだ。試合は十中八九、浦和がパスをつなぐ展開になる。ペトロヴィッチ体制6シーズン目を迎え、後列の選手がリスクを負ってパスをつなぐ丁寧なビルドアップは非常に洗練されており、対戦相手が彼らからボールを奪い取るのは容易な作業ではない。

 加えて、浦和の特殊な攻撃スタイルは、対戦相手に何らかの対策を強いるという特徴がある。1トップ2シャドーに両ワイドを加えた浦和の「5トップ」は、そのまま放置しておくと手痛い目を見るのが必至だからだ。
 大抵は相手が3バック(5バック)で数的均衡を生み出そうとするが、そうなるとボールポゼッションで浦和を凌駕する展開にはなりにくい。4バックで迎え撃つチームもあるが、その場合もコンパクトにブロックを敷いて浦和の縦パスを阻もうとするのが対策の基本となるため、ポゼッションで優位に立つという流れにはあまりならない。

 そして、なによりもパスワークとコンビネーションプレーに長ける浦和に対し、真っ向勝負を挑むのはリスクが高すぎる。それよりも前掛かりになる浦和に対し、カウンターを仕掛ける方がローリスク・ハイリターンだ。それゆえ、多くのチームがその戦略を採用するのだ。
 もっとも、そういった相手の出方には浦和も慣れている。毎回のように同じようなパターンになるからであり、そういった相手を何度も退けてもいる。カウンターを狙っていれば浦和を苦しめられるわけではない。

 しかし、そこに一定の条件が加わると、一気に浦和にとって嫌な相手になる。それはクオリティーの高いアタッカーの存在だ。実際、鹿島には金崎夢生を筆頭とするタレントがいて、横浜FMにはペトロヴィッチ監督をして「彼に負けたといってもおかしくない」と言わしめた齋藤学がいた。

 そして、セレッソには柿谷曜一朗、清武弘嗣といった一流のアタッカーがいる。彼らは形勢不利のDFが抑えられるようなレベルの選手ではない。さらに中盤にはボール奪取の名人・山口蛍が真ん中で構えている。セレッソ大阪にはショートカウンターで浦和の打ち破れるだけの力が十二分に備わっている。

 今シーズンの浦和はキャンプから「敵陣でやり切る」ことをテーマに修練してきた。その影響が鹿島戦、横浜FM戦では悪いほうに出てしまった。黒星を喫したその2戦と同じような戦いをしたら、セレッソ戦でもやけどする可能性は極めて高い。浦和が最適なバランスを見出して押し切るのか、それともセレッソがホームチームを葬るのか。浦和の攻から守に切り替わった際の攻防が勝負を左右する大きなポイントになるだろう。

文・神谷正明