4月1日(水)2015明治安田生命J2リーグ第5節
ジェフユナイテッド千葉 4-4 セレッソ大阪 (19:03/フクアリ/12,516人)
得点者:53' ネイツ ペチュニク(千葉)、59' ネイツ ペチュニク(千葉)、70' フォルラン(C大阪)、75' カカウ(C大阪)、80' フォルラン(C大阪)、82' パウリーニョ(千葉)、83' オナイウ阿道(千葉)、90'+2 山下達也(C大阪)
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 試合開始1時間前、フクアリ名物スタジアムグルメ「喜作のソーセージ盛り」を買いに外へ出ると、その時点では雨こそ降っていなかったものの、上空には強い風が舞っていた。思えば、これがその後に起こる嵐の前触れだった。開幕4試合を終えた段階での無敗同士によるJ2序盤の大一番は、後半の45分のみで計8ゴールが乱れ飛ぶ、“フクアリ春のゴラッソ祭り”と化した。

 前半は、序盤こそセレッソ大阪がジェフユナイテッド千葉陣内に攻め込む場面を作るも、時間の経過と共に千葉のプレスに押され始める。苦し紛れの縦パスはつぶされ、セカンドボールを拾われてはサイドに展開され、セレッソはピンチの連続となる。それでも、センターバックの山下達也と染谷悠太がギリギリのところで体を張って防ぎ、ゴールポストやクロスバーにも助けられつつ、無失点で前半を切り抜けた。

 後半、仕切り直しといきたいセレッソだったが、一度失った流れは取り戻せない。53分、ミスに端を発して与えた千葉のFKから先制点を献上すると、6分後にも2点目を追加され、苦しい状態に追い込まれた。劣勢の中、反撃の機運を高めたのは“世界のフォルラン”だった。
 70分、長谷川アーリアジャスールの絶妙なパスに振り抜きざまのシュートで合わせてゴールを決めると、ここからセレッソの攻撃が一気に加速する。75分にフォルランのアシストからカカウに待望の今季初得点が飛び出し同点に追いつき、80分にはフォルランがこの日2点目で逆転に成功。先ほどとは一転、今度はフクアリの一角を大勢で占めたピンク色のサポーターの歓声で場内は沸きかえった。

 ただし、この日の勝利の女神は行ったり来たり、両チームを翻弄した。セレッソは、フォルランの逆転弾からわずか3分の間に再逆転を許す。試合前日の夜に日本代表からチームに合流し、フル出場を果たした山口蛍はこの時間帯について、「完ぺきに崩されたわけではなく、自分たちで曖昧にしてしまった。セカンドボールや競り合いの部分はもっと強く行かないといけない」と悔やんだ。首位を走る千葉の勢いがセレッソを上回るのか。今季初の敗戦もちらつき始めた90+2分、山口、椋原健太と繋いで獲得したCKの流れから、丸橋祐介のクロスに山下がヘッドで合わせ、千葉GKのファンブルを誘ってゴールイン。セレッソが執念で同点に追いついた。

 45分間のみでの8得点は、J2新記録。両チーム死力を尽くした雨中の激闘について、試合後のパウロ・アウトゥオリ監督は、「サッカーの魅力が凝縮されたゲーム。こういったゲームがあるからこそサッカーは世界を魅了する。世界のどのレベルであっても、今日の試合はひけをとらない内容だった。それがJ2だったということが意義のあること。今日の勝者をあえて決めるとすれば、それはサッカーというスポーツ」と高揚感を隠さなかった。
 セレッソと千葉。今季のJ1昇格を争うライバル対決・第1ラウンドは、J2史に残る壮絶な打ち合いの末、4-4のドロー決着となった。

文・小田尚史