4月11日(土)2015明治安田生命J2リーグ第7節
セレッソ大阪 0-2 ツエーゲン金沢 (16:00KICK OFF/金鳥スタ)
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 今季初となるキンチョウスタジアムでの一戦に臨んだセレッソ大阪。しかし、結果は0-2と、初対戦の、今季J2に昇格してきたツエーゲン金沢に敗退。今季初めて無得点試合に終わっただけでなく、ホームで痛い、シーズン初黒星を喫した。試合終了直後、スタジアムの大部分は何とも言えない静寂に包まれ、その後、あいさつに回る桜色の戦士たちには、一部のセレッソサポーターからブーイングも浴びせられた。一方、金沢は4連勝で、セレッソと入れ替わって4位に浮上。貴重な2点目を決めた清原翔平は、今季通算6得点とし得点ランキングトップタイをキープした。

ただし、試合に関しては、「今日の前半は今季最高のゲーム」とパウロ・アウトゥオリ監督も述べるように、セレッソが序盤から敵陣で攻勢を仕掛け、いつ得点が入ってもおかしくないような雰囲気ができていた。コイントスで金沢がエンドを選択し、セレッソが前半から桜色のサポーターに向かって攻める形となったが、逆にその圧倒的な声援を目前にして、一気呵成に攻め立てた。「前半は素早いサイドチェンジを多用しながら、特に右サイドでのトライアングルというのは非常に機能していた」(アウトゥオリ監督)、「サイドからも、中央でもいい攻撃はできていた」(長谷川アーリアジャスール)。そのなかで、16分と17分には3試合ぶりの先発となったパブロに、31分にはカカウに、33分には椋原健太の右クロスに合わせた丸橋祐介に決定機が訪れる。しかし、17分のパブロのヘッドがGKに防がれ、それ以外も枠を捉えることができない。

すると、「メンタル的に隙の出た時間帯」(アウトゥオリ監督)に形勢が一気に変わってしまう。38分、セレッソがCKから立て続けに攻勢を繰り出した直後のことだった。金沢GK原田欽庸のゴールキックから、金沢FW水永翔馬にヘッドで競り勝たれると、セレッソDFが寄せきれないうちに、金沢の10番、FW佐藤和弘に豪快に左足を振り抜かれ、GKキム ジンヒョンの手の届かない、絶妙なコースにゴールを決められてしまった。「(水永)翔馬くんに競らせて、そのこぼれ球を、裏に抜けたときに拾えるようにと思ってやっていて、それがいいところに転がってきた」というのは、殊勲の佐藤。この2トップの『形』に持って行かれたことが、セレッソとしては誤算だった。

前半の失点も、セレッソとしては今季初。これまでなら、前半を無失点でしのいで後半勝負に持ち込めたが、焦りから、この試合ではその後、後半にかけて攻撃が単調になっていき、「攻めさせられている感じがあった」(染谷悠太)。さらに、77分にはPKで2失点目も献上。これで相手をさらに楽にした。一方で、金沢を崩しかけたシーンは、この日、チャンスを演出するプレーが際立っていたフォルランのクロスから途中出場の玉田圭司がゴール前でヘッドを合わせたところと、同じく再三好機に絡んだ椋原のクロスにフォルランが飛び込んだシーンの2つ。しかし、前者は枠をわずかに外れ、後者は金沢DFの粘り強いブロックの前に、シュートに至らなかった。

また、金沢側から言わせれば、「前半を耐えたこと、我々が先に1つ取ったことで、より自分たちがその後にやることが明確になった」と、森下仁之監督。「(セレッソの後半は)比較的前線の選手が止まってしまったというか、動きのないなかで長いボールが多くなったので、自分たちは跳ね返しやすかったというか、守備は対応しやすかった。予想していたというよりは、少し動きが止まってくれて、自分たちにとっては有利になった」。まさに、相手の思うツボに、セレッソはハマっていった。「ゲームの流れというものがあると思うので、その流れを考えたうえで、交代をしないという選択をした」と、玉田投入以外は、ピッチにいるイレブンにすべてを託したアウトゥオリ監督だったが、その采配も実を結ばなかった。

「相手の想定内のなかでサッカーをやっているというか。それじゃ、やっぱり崩れないし、相手の考えていること以上のサッカーをしないといけない」と課題を口にしたのは、玉田だ。「いつかは負けるとは思うが、これを教訓にしていかないと(今後)この1敗は大きいと思う」と、危機感を募らせる。長丁場のなかでは、『たかが』1敗なのかもしれない。しかし、『されど』1敗。セレッソに勝つためのお手本のようなサッカーを、組織力が高く快進撃を続ける金沢に見せつけられたなか、経験豊富な20番もコメントするように、この1試合から学ぶべきものは大いにある。J1復帰に向けて、もう停滞は許されない。

文・前田敏勝