4月19日(日)2015明治安田生命J2リーグ第8節
セレッソ大阪 1-2 ザスパクサツ群馬 (16:04/ヤンマー/17,212人)
試合写真・コメントなど
試合後の群馬選手コメント
----------

明治安田生命J2リーグ戦第8節、セレッソ大阪はザスパクサツ群馬に1-2と逆転負けを喫し、これでホーム2連戦で2連敗という最悪の結果となってしまった。順位も、J1昇格プレーオフ圏内からも転落し9位に後退。序盤戦とはいえ、1年でのJ1復帰に向けて、大きな壁にぶち当たったような状況だ。一方の群馬は、連敗を3でストップし、16位に浮上。対セレッソ戦では2008年以来となる勝利となった。

今週別メニュー調整が続いたカカウがメンバーから外れ、玉田圭司が2試合ぶりに先発に名を連ねたこの一戦。試合の入りでは、その玉田が絡んで、セレッソが幸先良く先手を取った。開始2分、山下達也からのロングフィードをフォルランがヘッドでそらし、そのボールを受けた玉田がペナルティーエリアへ侵入。玉田はシュートこそ打てなかったものの、粘り強くキープしラストパスを出すと、走り込んだフォルランが左足で押し込んだ。チームが今季推し進める『縦への意識』の表れた形で、決めるべき選手が決めて、前線のコンビもうまく機能。それだけに、今後も得点を積み重ねられるのではないかという期待感も生まれた。

しかし、「先制したからといって最初から流れがすべてよかったわけではなかった」と、パウロ・アウトゥオリ監督。群馬の「守備を徹底して、スライド、ファーストディフェンダー、球際(の強さ)、そういうものをしっかりと、速くやる、強くやることを徹底して臨んだ」(服部浩紀監督)戦い方に、後手を踏む。相手のプレスを受けて、ミスやバックパスも増え、CKやスローインを許す場面も目立ち始めた。
そのなかで、28分の失点もいわば必然だったのかもしれない。この試合がJデビューとなる群馬DF川島將のロングスローからの、ふわっとしたボールをクリアしきれず、ルーズボールを小林竜樹に決められた。さらに、前半終了間際にもピンチを招いたが、キム ジンヒョンの身体を張った守備もあり、なんとか1-1で折り返した。

流れのよくないなか、ハーフタイムでアウトゥオリ監督が動いた。今季初めて、後半開始からの2枚替えを実行。精彩を欠いたパブロと椋原健太に代えて、関口訓充と酒本憲幸を投入した。特にサポーターからの大歓声を受けた関口は、「パスコースを作って上げられるように、どのポジションで出ても顔を出してやれたらいいなと思っていた」というプレーで、持ち味の攻守でのハードワークを発揮してチームを活性化。桜の32番を中心に、サポーターの大きな応援コールとスタジアムが作り出す雰囲気も力に変えて、セレッソが攻勢を強めていく。さらに、64分にも最後のカードとして橋本英郎を送り込み、勝負をかけたアウトゥオリ・セレッソ。しかし、相手の牙城を崩すまでには至らない。

すると、84分、一瞬の隙を突かれた。橋本のクロスから山口蛍がボレーシュートを放ったあとの、群馬のゴールキックからの流れだった。群馬のつなぎをなかなか奪えずにいると、川島の左クロスからのこぼれ球を、再び小林竜樹にヘッドで押し込まれた。53分と56分のピンチは好守で防いでいたキム ジンヒョンだったが、この瞬間はさすがに弾き返せず。「責任を感じていますし、自分が許せない」と自らを責めたが、彼だけの問題ではないことも明らかだ。「セレッソは守から攻は速いが、攻から守は遅かったので、そこはキーになると思っていた」というのは、群馬DF青木良太。今のセレッソのウイークポイントを的確に突かれた、痛恨の失点だった。終了間際には、山下を前線に上げてパワープレーも試みたセレッソだが、結局、1-2のまま終了。ホームスタジアムにブーイングが響き渡るのも、これまた必然のことだった。試合後、パウロ アウトゥオリ監督も、「全く言い訳はできない。負けてしかるべき内容だった」と、チームを代表して反省の弁を述べていた。

喫してしまった2連敗は、もう消すことはできない。だからこそ、ここからの切り替えと奮起が重要になるセレッソ。「下を向く必要はないと思うし、練習から危機感を持ってやっていけば、絶対に変わってくる」というのは、J2の難しさをよく知る1人、関口。「ここで連勝できるチームがJ1に昇格できると思うので。自分たちは連敗したが、次の試合にもう1回切り替えて、ここから勝点を積み重ねていけるようにやっていくだけ」と、気丈に前を向いた。絶対無二の目標、J1復帰に向かって、今の桜の戦士たちに落ち込んでいる暇はない。

文・前田敏勝