4月26日(日)2015明治安田生命J2リーグ第9節
カマタマーレ讃岐 vs セレッソ大阪 (14:00/丸亀/10,447人)
試合写真・コメントなど
----------

 ホーム2連敗で漂い始めた暗雲を振り払うべく向かった丸亀の地で、前半、輝きを放ったのが、今季初スタメンを勝ち取った楠神順平だった。開始直後、左サイドで得意のドリブル突破から中へクロスを上げると、合わせた長谷川アーリアジャスールのヘッドこそ讃岐の守護神・清水健太に防がれたが、フォルランが詰めてセレッソ大阪が先制した。
 その後も、ピッチを大きく使った展開から、セレッソが得点を重ねた。5分、椋原健太のクロスに楠神がうまくヘッドで合わせてネットを揺らすと、15分には圧巻のコンビネーションから追加点が生まれる。山口蛍のサイドチェンジに絶妙なトラップを見せたフォルランが中央へパス。これをスルーして前へ飛び出した楠神へ玉田圭司が絶妙なダイレクトパスを送り、楠神が押し込んだ。

 開始早々の失点で浮足立つカマタマーレ讃岐から奪った電光石火の3得点。そのすべてに絡んだ楠神は、試合後、「今日しかチャンスはないと思っていた。絶対、試合開始からやろうと思っていた」と今節に懸けていた思いを語った。中が堅い讃岐の守備を崩すため、いつも以上に練習を重ねてきた「横に揺さぶりをかけた上で相手の穴を突く」(パウロ・アウトゥオリ監督)攻撃が功を奏した前半は、圧倒的に攻め込みながら得点を奪えなかった明治安田生命J2リーグ第7節のツエーゲン金沢戦、開始早々に先制しながら、その後は相手に主導権を渡した前節のザスパクサツ群馬戦、連敗中の2試合の前半で出た課題を一気に払しょくする、見事な戦いぶりだった。

 一方で、讃岐に押し込まれた後半は課題も残った。動きが落ちた前線でボールが収まらず、DFラインが下がり始めると、中盤を含めた全体が間延び。こぼれ球を讃岐に次々と拾われ、猛攻にさらされた。
 59分、それまで攻守に活躍が光っていた山口のクリアが我那覇和樹に渡り、そのまま我那覇にミドルシュートを決められると、セレッソはプレスと縦への推進力を強めた相手に押し込まれ続けた。この時間帯について山口は、「ボールを横につないで落ち着かせた時間もあったので、そういう時間をもう少し早くできればよかった」と振り返る。それでも、途中出場の安藤淳が守備で安定を図り、攻撃に入ったパブロと関口訓充で盛り返すなど、「途中から入った選手も自分の役割を果たしてくれた」(パウロ・アウトゥオリ監督)と讃岐に傾いた流れを食い止めた。欲を言えば、終盤に迎えたチャンスで4点目を奪って試合を決めたかったが、セレッソが3-1で逃げ切り、連敗を2で止めた。

 前半にセーフティーリードと言える3点を奪いながら、盤石の試合運びができなかった点は強者の佇まいとは言えないが、ここまでホームでは4試合連続で無失点だった讃岐の守備を破った攻撃に加え、前節は課題が残った球際の守備では全員が前から行く姿勢を見せ、山下達也を中心に気迫のこもった対応で1失点に留めるなど、攻守に得た収穫は少なくない。ここから続くゴールデンウィークの連戦へ向けて弾みとなる勝利を、チーム全体で掴み取った。

文・小田尚史

試合後のセレッソ選手コメント(1)
試合後のパウロ・アウトゥオリ監督 記者会見コメント