5月3日(日・祝)2015明治安田生命J2リーグ第11節
アビスパ福岡 1-0 セレッソ大阪 (13:04/レベスタ/12,301人)
試合写真・コメントなど
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 13分、セレッソ大阪はアビスパ福岡に与えたCKから失点すると、その1点が最後まで重くのしかかり、0-1で敗戦。明治安田生命J2リーグ戦の第11節を終え、早くも今季3敗目を喫した。一方の福岡は負けなしを8試合に伸ばし、5位に浮上。試合後、井原正巳監督が「選手たちが90分間を通して、ゲームプランを集中して実行してくれた」と称えるなど、第10節のジュビロ磐田に続いて今節でもセレッソを破った実力は本物になりつつある。

 この試合のプレビューで福岡の要注意選手に挙げた鈴木惇と中原貴之は、この試合はベンチからのスタートだった。ただし、得点場面はやはりCKから。末吉隼也のキックに酒井宣福が合わせた。人は変わっても、福岡の強みは変わらなかった。試合後、パウロ・アウトゥオリ監督に加えて複数の選手が「セットプレーは警戒していた」と語っていただけに、もったいない失点だった。また、この試合では4-3-3も機能しなかった。攻撃での距離感が遠く、この2試合光っていた楠神順平も沈黙。また、アンカーの山口蛍が相手のプレスの標的となり、ボールを奪われた後にサイドのスペースを使われる場面も目立った。1失点で済んだことが幸いと言えるほど、福岡の鋭いカウンターから決定機を何度も作られた。
 後半、アウトゥオリ監督は頭からカカウを投入。カカウは相手に脅威を与え、守備では自陣深くまで戻るなど献身的な姿勢こそ見せたが、周囲と連動する場面は少なく、決定機と呼べる場面はそれほど作ることができなかった。

「リードされたまま時間が進むにつれて、どうしても選手たちに焦りが出て、単調な攻撃になった」。アウトゥオリ監督は試合後にそう嘆いた。この試合では、失点後から終始苛立ちを隠せなかったフォルランは、後半はサイドに張るばかり。そこからのクロスは相手を脅かすには至らなかった。福岡DFの堤俊輔は、「一人ひとりの能力は高くて脅威だったけど、コンビネーションで崩してくることはなかったので、戦った感想として、守っている側としては今回に関しては守りやすかった」と語っている。これとよく似たコメントは、0-2で敗れた第7節のツエーゲン金沢戦後も相手DFから聞かれた。相手のストロングポイントで得点を決められ、後半は守りを固めた相手に対して可能性の少ない攻撃に終始するという試合の流れは、前述の金沢戦と酷似していた。

 みすみす相手の土俵で戦い、相手の良さを引き出すような自滅に近い敗戦。ホーム連敗の後、チーム一丸で取り戻した好ムードを自ら手放す形によって、中2日で迎える次節の磐田戦の重要度は増した。「この5連戦、どこも5連勝できるチームはない。(自分たちも)2勝して今日は負けたけど、また次に連勝できればいい。次はジュビロなので、しっかり準備してやっていきたい」(山口)。「連戦で次の試合はすぐに来る。差を広げられるわけにはいかない。相手はジュビロでホームなので、勝点3を取って、上位に食い込める位置にいきたい」(長谷川アーリアジャスール)。幸い、試合後の選手たちは気持ちを落とすことなく、その眼は次節に向けられていた。今こそ、チーム一丸でリバウンドメンタリティーを発揮すべき時だ。

文・小田尚史