5月9日(土)2015明治安田生命J2リーグ第13節
ギラヴァンツ北九州 0-3 セレッソ大阪 (16:03/本城/5,041人)
試合写真・コメントなど
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 ゴールデンウイークを挟んだ5連戦ラストとなった明治安田生命J2リーグ第13節。セレッソ大阪は北九州へ乗り込み、初対戦となったギラヴァンツ北九州に3-0で勝利。連敗を2で止めると共に、順位も一つ上げて7位とした。

 この試合、セレッソは開始2分にパブロがファーストシュートを放つと、その後も自由にボールを持たせてくれる相手に対して猛攻を仕掛け、前半だけで14本のシュートを放った。
先制点は19分。フォルランのCKを相手DFがクリアしたボールをパブロがシュート。ミートこそしなかったが、詰めていた長谷川アーリアジャスールがうまく合わせてネットを揺らした。前節のジュビロ磐田戦では、先制後の2点目が取れずに相手に流れを渡したが、今節は前半終了間際の45分という時間帯に待望の追加点が入る。今度も起点はフォルランのCK。1点目とは逆サイドのCKから、中央で飛び込んだパブロのシュートのこぼれ球に、ファーサイドで山下達也が詰めた。

 前半で2点のビハインドを負った北九州は、後半開始から、かつてセレッソでもプレーした小松塁を投入。小松は何度か裏のスペースへ抜け出しゴールに迫るも、「(小松の)裏への動き出しは速いと警戒していた」と話すセレッソでの同期加入の山下が立ちはだかった。その後、徐々に動きが落ちたセレッソに対し、北九州は70分、この試合最大のチャンスを迎える。風間宏希のパスに抜け出した、こちらも元セレッソの井上翔太が角度のないところからシュートを狙うも、ここは桜の守護神キム ジンヒョンが体を張って防いだ。「失点ゼロにこだわろう」というハーフタイムのパウロ・アウトゥオリ監督の指示を実践し、北九州の時間帯をしのいだセレッソは、93分にとどめの3点目を奪う。途中出場の玉田圭司、関口訓充とつなぎ、最後は、この試合、再三に渡る攻撃参加が光っていた山口蛍の折り返しに扇原貴宏がボレーで押し込んだ。ハードな日程の5連戦目。この時間帯でも最前線まで走り切った山口と扇原には脱帽する他ない、見事な得点だった。

 今季2度目の連敗となった前節の磐田戦翌日、チームは長めの全体ミーティングを行い、その後は選手間のみによる話し合いの場も持った。「攻撃陣、守備陣、それぞれにやりたいことはある。その中で、お互いに犠牲の気持ちを持って戦うことを確認した」(椋原健太)「お互いに要求する際のジェスチャーなど、コミュニケーションにおいては気遣いも大事だということを確認した」(山下)。戦術面やプレー面での改善というより、メンタル、そして“チームの和”という部分に重きが置かれた話し合いとなったようだが、その成果については、「あったと思います」(山下)と確実にピッチに反映された。2点目につながったCKは椋原とカカウのコンビプレーで奪ったが、その後に2人がコンタクトでプレーを確認し合った場面など、「試合の中で、選手同士でコミュニケーションも取れていた」(扇原)。また、この試合ではイエローカードもなし。「立て直すという強い気持ちを全員が持って戦った」とアウトゥオリ監督もチームを評価した。

 もちろん、「自分たちは一つ勝ったからと言って満足するチームではない」(玉田)ことは確かであるし、攻撃では、決めるべきところで決め切れていれば、得失点差をさらにプラスに広げることもできた。守備でも、前節と同様、DFラインのズレから相手にチャンスを作られた場面もあった。攻守においてさらに隙のない軍団を目指し、次節以降も一戦必勝で勝ちにこだわる飽くなき姿勢が、セレッソには求められる。

文・小田尚史