5月24日(日)2015明治安田生命J2リーグ第15節
ロアッソ熊本 0-0 セレッソ大阪 (16:03/うまスタ/13,132人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ第15節。セレッソ大阪はロアッソ熊本と対戦し、スコアレスドロー。勝点1を分け合った。順位は試合開始前の8位と変わらず、自動昇格圏内である2位との勝点7差も同じ。今節は上位のジュビロ磐田やジェフユナイテッド千葉といったライバルがいずれも敗戦。セレッソとしては勝点を詰めるチャンスだっただけに、悔やまれるドローとなった。

 試合は前半から、ボールを持つセレッソに対し、前線からのプレスとカウンターに活路を見出す熊本といった構図が鮮明となる。その中で、暑さもあり、攻撃のテンポが上がり切らなかったセレッソだが、「チャンスがなかったわけではない」(フォルラン)と、10分に楠神順平が得意のドリブルで好機を演出すれば、27分には長谷川アーリアジャスール、楠神、カカウとつなぎ、カカウが決定的なシュートを放つ場面もあった。その後もピッチを広く使った展開から、セレッソはフォルランやパブロがサイドで収めてミドルシュートを打って熊本ゴールを脅かすも、得点は奪えず前半は終了した。

 セレッソにとって、守備ではほとんど危ない場面はなかった前半だが、後半は立ち上がりから熊本に押し込まれる時間帯も続く。67分にはカカウのパスミスからカウンターを食らい、クロスに対して熊本の巻誠一郎が体ごと飛び込んできたが、ここはキム ジンヒョンが防いで難を逃れた。ペースを奪い返したいセレッソは71分、前線の外国籍選手3人をパウロ・アウトゥオリ監督が一度に交代させる思い切った采配に出た。この交代で玉田圭司、吉野峻光、沖野将基がピッチに投入されたが、吉野にとってはこれが復帰戦、沖野にとってはプロデビュー戦となった。
 交代直後の72分、玉田から沖野へつなぎ、沖野がクロスで早速チャンスを作るなど、ピッチには躍動感も生まれたが、「チャンスはあったので、そこで決め切らないといけないし、フィニッシュの部分で中に人がいなかったということもあった」と吉野が言うように、89分には楠神、吉野、丸橋祐介の3人で左サイドを完ぺきに崩しながら、丸橋のクロスに中で合わせる選手がいない場面もあった。結局、90分を通してシュート数は熊本の4本に対してセレッソは3倍近い11本を放つも、最後までネットを揺らすことができず、無念のタイムアップとなった。

 試合開始時点でリーグ最下位の熊本相手に勝ち切れず、上位との差も縮まらない。セレッソにとっては難しい状況が続くが、「これが現実だから。受け止めることがまず大事。その中で試合は続いていく。能力がある選手はいると思うから、バラバラにならず、まとまっていくことが大事」と話すのはベテランの玉田。キャプテンの山口蛍も、「焦っても仕方がない。うまくいかない状況でも我慢しながらやっていくしかない。時間をかけて、しっかりやるしかないと思う」と落ち着いた口調で訴える。「前節の反省として、失点はゼロで抑えたので、その部分はプラスにして、この勝点1を無駄にしないように、強い気持ちを持って次の試合に向かいたい」と話したのは長谷川だ。
「痛みもなく、周りとの関わり合いやイメージの部分は遜色なくできた」と試合後に振り返った吉野の復帰など、今後に向けて明るい材料もあった。思うようにいかない苦境に喘ぐ状況下だが、その中でも光を見出し、セレッソは次節以降へと歩みを進めていく。

文・小田尚史