6月1日(月)2015明治安田生命J2リーグ第16節
コンサドーレ札幌 1-1 セレッソ大阪 (19:03/札幌ド/18,044人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ第16節。他の試合が5月31日(日)に開催された中、6月1日(月)、平日のナイトゲームに集まった18,044人の観客の前で行われたコンサドーレ札幌対セレッソ大阪戦は、両チームが最後まで勝利にこだわった熱戦となった。

 序盤は一進一退の攻防だった。最初にペースを掴んだのはセレッソ。10分、この試合が第9節のカマタマーレ讃岐戦以来の先発となった玉田圭司が楠神順平とのワンツーからヘディングで札幌ゴールを脅かせば、札幌も15分、福森晃斗のクロスに都倉賢が合わせてセレッソゴールに迫った。前半の中盤以降はこう着状態ともなったが、セットプレーから試合は動く。39分、フォルランのCKに染谷悠太がニアで合わせ、札幌のオウンゴールを誘ってセレッソが先制に成功した。

 後半はビハインドを負った札幌が攻勢に出る。「相手の背後をどんどん狙っていこう」というハーフタイムのバルバリッチ監督の指示を忠実に実行し、主にセレッソの右サイドに狙いを定めた。すると50分、稲本潤一のパスを受けた前寛之が左から中央にカットインして思い切りの良いシュートを放つと、この試合、ボールを持つたびに札幌サポーターからブーイングを受けていた山下達也の体に当たってゴールに吸い込まれた。前にとっては、これがうれしいプロ初ゴール。試合後は、「ハーフタイムに小野伸二さんから『もっと内側に入ってシュートを打つのもアリなんじゃない?』とアドバイスをもらい、得点シーンは思い切って打つことができました」と今季初めてベンチに入った小野の助言が大きかったことを明かした。直後の51分にも札幌にビッグチャンスが訪れる。都倉が強引なドリブルからシュートを放つも、ここは山下が懸命なブロックで防いだ。たまらずセレッソのパウロ・アウトゥオリ監督は手を打つ。64分、酒本憲幸に変えて茂庭照幸を投入。染谷を右サイドバックに移し、処置を施した。その後は「どっちも点が欲しくてカウンターの応酬みたいな感じになった」(山口蛍)と再び一進一退の攻防に。セレッソは65分、69分といずれも玉田が中央を割って得点まであと一歩のシーンを作るも決め切れず、札幌も、終盤はコンタクトプレーに競り勝ちセカンドボールを拾い、最後まで逆転を目指して攻め続けたが、セレッソの集中した守備を崩し切ることはできなかった。

 結局、試合は1-1で終了。両チーム勝点1を分け合う形となった。停滞した5月の戦いを終え、反攻の6月といきたいセレッソにとっては手痛い引き分けではあるが、ホームの大歓声を背にハードワークを続けた札幌は紛れもない強敵であっただけに、守備陣の踏ん張りで得た今節の勝点1を、今度こそ次節につなげたい。一方、「ハイテンポでダイナミックな試合を見せられた」とバルバリッチ監督が試合を振り返った札幌にとっても、勝点1を重ねたことでアビスパ福岡を抜いて6位に浮上。今後の戦いに希望も抱かせた。

 最後に、両チーム、ベンチ入りメンバーも含めてW杯経験者が実に6人も揃った豪華な一戦となった今節だが、もう一つの見どころであったセレッソのキム・ジンヒョンと札幌のク・ソンユンのGK対決も、それぞれに見せ場を作った。69分、札幌のクロスに対してキム・ジンヒョンが体を張って防ぐと、直後はク・ソンユンがフォルランの強烈なシュートをキャッチ。会場を沸かせた。試合後のミックスゾーンでは笑顔で両者が会話を交わす場面も見られ、“先輩・後輩”の関係に戻った姿が印象的だった。今季、北の大地でプロとして大きな一歩を踏み出しているク・ソンユンは、「セレッソサポーターからもコールをしてもらえて、本当に嬉しかった。これからももっともっと頑張って、いい選手になれるように努力していきます」とさらなる精進を誓っていた。

文・小田尚史