6月6日(土)2015明治安田生命J2リーグ第17節
セレッソ大阪 1-0 愛媛FC (15:04/ヤンマー/16,116人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ第17節、3週間ぶりのホームゲームに臨んだ9位セレッソ大阪は、勝点23で並ぶ10位愛媛FCと対戦し、楠神順平のゴールにより、1-0と勝利。リーグ戦では4試合ぶり、ホームでは4月29日の第10節京都サンガF.C.戦以来となる白星を飾り、ヤンマースタジアム長居には、久々に桜色のサポーターの歓喜の声が響き渡った。

 負傷で別メニュー調整の選手も多いうえに、ここまで得点ランキングトップにも立つフォルランも今季初めて欠場。台所事情の苦しいなか、今節を迎えたセレッソ。それでも、この日、ピッチに立った桜色の戦士たちは、「崖っぷちやと思って、そういう気持ちで臨んだし、ホームで勝たなければ話にならない」と酒本憲幸も言うように、1年でのJ1復帰のために、ホームでの必勝のために、『絶対に勝つんだ!』という強い意志を、前半からしっかりと示した。

 特に最初の45分間は、セレッソの独壇場だった。「前からプレッシャーをかけて、ウチのペナルティーエリアの中まで入ってこられるようなシーンもほとんどなかった」(キム・ジンヒョン)というように、前線からの守備が機能し、「いい距離感でみんなが守れていた」(山下達也)ことで、相手を前半シュートゼロに抑えた。その要因は、「いつも監督が言っているようなチームのコンセプトが狙い通りできたのと、自分らの時間を作るようなサッカーができた」(酒本)ためだ。

 愛媛戦前半では、近い距離でのパス交換や、中盤から前線への鋭いくさびを入れるパスなど、テンポのある攻撃も実践し、相手を翻弄。「自分たちや僕の特長でもあるし、そういうのがどんどん増えていけば、より自分もプレーしやすくなる」と玉田圭司もコメントしていたが、セレッソの選手本来の持ち味が発揮できたことで、たとえボールを奪われても、チャレンジ&カバーをスムーズに行ってすぐに取り返すなど、愛媛に隙を与えず。そのうえ、パウロ・アウトゥオリ監督の求める「縦への意識」「横幅をしっかり使うこと」という戦い方も、より活きるようになり、攻撃のオプションも広がった。それが、27分、扇原貴宏が送ったロングフィードからの、楠神の先制弾につながった。

 ただし、1-0で迎えた後半は、一転、愛媛の反撃の前に、我慢の時間帯が続いた。「選手たちの『負けたくない』という気持ちが強く影響して、心理的になかなか思うような試合運びができなかった」(アウトゥオリ監督)だけでなく、「ウチがボールをキープできず、そこでフィジカルを使ってしまった」(キム・ジンヒョン)ことで、動きも全体的に落ち、後半のセレッソのシュートはわずか1本。ピンチも最後まで散見された。だだし、今までならば失点していた展開のなかでも、「ある程度押し込まれた時間帯で、よく我慢できた」(山下)のは、チームの成長の証。83分に投入されたDF茂庭照幸を含め、イレブンが粘り強く戦い、最後まで失点は許さず。今季初めての1-0という最少スコアで試合を終わらせた。

「押し込まれるシーンもあったので、そこは改善をする必要がある」と山口蛍も勝って兜の緒を締めるように、攻守に課題は山積しているのは確か。「この1勝で満足してはいけないと思うし、どんどん、2連勝3連勝していかないと上と離れてしまう。自分たちはもっと上を目指してやっていきたい」(玉田)と、今のセレッソに1勝で落ち着くだけの猶予もない。それでも、この勝利や、『希望の前半』を価値あるものにしていきたいところ。そのためにも、セレッソの真価が問われる戦いは、まだまだ続いていく。

文・前田敏勝