6月21日(日)2015明治安田生命J2リーグ第19節
セレッソ大阪 1-0 徳島ヴォルティス (19:04/金鳥スタ/11,332人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ第19節、キンチョウスタジアムでのホームゲームに臨んだセレッソ大阪は、徳島ヴォルティスと対戦し、1-0で勝利。これで勝点をようやく30としたセレッソは、J1昇格プレーオフ圏内の6位・アビスパ福岡に勝点1差と迫る7位に浮上。また、勝点36で並ぶ2位ツエーゲン金沢、3位ジュビロ磐田との差を6とした。

 6月15日、フォルランとの契約満了(22日付)が発表され、この一戦が約1年半、桜の背番号10を背負った世界的ストライカーとともに戦う最後の試合となった。そのフォルランは、ベンチ入りメンバーから外れ、スタンドから仲間の戦いを見守る形となったが、ピッチに立ったチームメイトたちが、フォルランに勝利を捧げるべく、奮闘する。

 立ち上がりこそ、ミドルシュートや速攻を浴びたり、セットプレーのピンチもあったが、12分に染谷悠太のロングフィードから、走り込んだ楠神順平が身体を張って飛び込み決定機を作ると、このプレーをきっかけに流れはセレッソに移っていく。
 そして24分、待望の先制点を獲得。日本代表戦から戻り、2試合ぶりに登場した山口蛍が、敵陣中央で絶妙な縦パスを送ると、ペナルティーエリア手前のエリアの「得意なゾーン」でボールを受けたのは長谷川アーリアジャスール。相手をかわしながら「いい形で前を向けて」、ミドルシュートを放ち、これが相手DFに触れながらゴールに吸い込まれた。

 追加点を取りたかったセレッソだが、その後は最近の試合同様になかなか主導権を維持しきれず、ハーフタイム直前には徳島に攻め込まれるシーンもあった。ただ、これをしのぎ1-0で前半を折り返すと、エンドが替わってセレッソサポーター側に攻め込んだ後半は、徳島をシュートゼロに抑える展開に持ち込む。
 特に、試合途中からピッチに入った選手たちの貢献度は高く、ケガから復帰した関口訓充は持ち前のハードワークでチームを活気づけ、ホーム初見参となった田代有三は空中戦の強さやポストプレーなどで前線の起点に。彼らをはじめ、攻守に最後まで集中が途切れない戦いを続けた桜色の戦士たちは、ゴールこそ奪い切れなかったが、徳島を寄せ付けず1-0での完封勝利を達成した。

 ただし、「1点だと、何が起こるかわからないもの。後半も含めてチャンスはあったし、2点、3点取れるような攻撃をしていかないといけない」と勝ってもしっかり現状を見つめたのは、殊勲の長谷川。「今日勝てたということで、次も勝たなくちゃ意味がない」とここからの反攻に向けて気を引き締めつつ、「フォルランを送り出す試合で、勝ってセレモニーができたということは、ちょっとは華を添えられたのかなと思う」と安堵の表情も浮かべていた。

 その試合後のセレモニーでは、「本当に大好きになったこのチームを去るということで、非常に残念に思いますが、心の底から仲間たちのJ1昇格を祈り続けたい。そして、いつの日かまた日本に帰ってきて、皆さんとお会いできる日を心から楽しみにしています。今まで本当にどうもありがとうございました! (日本語で)またあとで!」と述べたフォルラン。チームメイトに8回胴上げされたあと場内を1周し、サポーターに惜しまれつつ桜色のユニフォームに別れを告げた。昨季・今季と、チームトップスコアラーとして活躍し、最後までセレッソのために戦ってくれた偉大なストライカーに、今一度、敬意と感謝を表したい。彼の足跡を無駄にしないためにも、セレッソにとって真価の問われる戦いは、まだまだこれからも続いていく。

文・前田敏勝

試合後のパウロ・アウトゥオリ監督(セレッソ)記者会見コメント
試合後のセレッソ選手コメント