7月4日(土)2015明治安田生命J2リーグ第22節
横浜FC 0-0 セレッソ大阪 (19:03/ニッパツ/3,728人)
試合写真・コメントなど 
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 明治安田生命J2リーグ戦の前半戦を、勝点34の5位で終えたセレッソ大阪。巻き返しを図る後半戦の初戦。アウェイで行われた第22節・横浜FC戦は激しい雨が降りしきる中、両者とも最後まで得点が奪えず0-0の引き分け。勝点1を分け合う結果となった。セレッソにとっては第21節・大分トリニータ戦に続く2試合連続のスコアレスドロー。安定した守備とともに、得点力不足が浮かび上がる一戦となった。

 前半の序盤は横浜FCにボールをつながれる展開も、15分を過ぎたあたりからはセレッソが主導権を握り、チャンスを作り始める。前節に比べるとボールの動かし方もスムーズになり、山口蛍と扇原貴宏のダブルボランチから再三サイドへ展開されると、24分に椋原健太から田代有三へ、25分には丸橋祐介から関口訓充へ好機が訪れたが、いずれもシュートを打ち切れず、チャンスをモノにできない。28分には玉田圭司が際どいコースへループシュートを放つも、横浜FCの守護神・南雄太に防がれた。29分には流れるような展開から最後は椋原のクロスに田代がボレーで合わせるも、シュートはバーを越えた。振り返れば、「内容は本当に良かった。あとはゴールを決めるだけという展開」(パウロ・アウトゥオリ監督)の前半に「点を取れなかったのが、引き分けにもつながった」(丸橋)結果となった。

 セレッソが優勢に試合を運んで迎えた後半。次第に雨あしが強くなると、水はけの良さには定評のあるニッパツ三ツ沢球技場のピッチでも時間の経過とともに至る所に水たまりができる悪条件下となっていく。難しい状況の中、横浜FCが69分に三浦知良、79分に大久保哲哉を投入してスコアを動かしにかかると、セレッソも81分に茂庭照幸を入れて守備を厚くするとともに、84分には吉野峻光と前川大河を投入。勝負に出た。すると、交代選手はそれぞれ終盤のチャンスに絡む。83分、横浜FCが決定機を迎えた。CKから大久保がフリックしたシュートはポストのわずか右に逸れたが、セレッソとしてはヒヤリとさせられた場面だった。86分にはセレッソに好機が訪れる。キム ジンヒョンから山口とつなぎ、吉野が横浜FC守備陣の裏へ抜け出すが、判断よく飛び出してきた南に防がれた。その後も猛攻を仕掛けたセレッソは89分に関口、92分には吉野、前川が、再三横浜FCのゴール前に迫ったが、得点は奪えず無念のタイムアップとなった。
 長谷川アーリアジャスールのサラゴサ移籍を受け、4-4-2の新布陣でスタートして2試合目。前節よりも内容はよくなり「パフォーマンスとしては大きな手応えを感じたゲームだった」とパウロ・アウトゥオリ監督も総括したが、最後まで1点が遠く、前節課題となった攻撃面は今節も課題のまま残された。

「(山口)蛍からいい形でサイドチェンジが来て、結構フリーな形でボールも持てたので、もっと精度の高いクロスを上げれば点にもつながった」(丸橋)、「今はボールをつなぐことを意識し過ぎて、ゴールに向かっていく迫力があまりない。もっとゴールに向かっていく意識を出していかないと」(扇原)。試合後の選手たちはそれぞれに得点を奪うための課題を口にした。彼らのほかにも、田代がクロスに対する入り方を反省すれば、山口は競った後に裏を狙う意識が乏しいことにも言及した。ゴール前の連係やアイディアは、今後、早急に煮詰めていきたいポイント。練習からゴールへの意識をチーム内で共有させ、次節のコンサドーレ札幌戦へ臨みたい。

 一方で、堅さを増した守備は今節も継続され、4試合連続で無失点を達成。直近の8試合で2失点という盤石ぶりを発揮した。攻撃の課題を述べた山口も、コメントの締めくくりは「全体的に内容が悪いわけではないし、負けていない。失点をゼロで行けているところは続けていきたい」と前向きに語った。最後に、土砂降りとも言える雨の中、勝利を信じて最後まで途切れることのない声援を送り続けたサポーターの姿には感銘を受けた。試合後、ゴール裏で整列するイレブンに対して、「セレッソ大阪」コールを叫び続けた彼ら、彼女らの気持ちに応えるためにも、次節、チームは勝点3を届けなければいけない。
 
文・小田尚史