7月22日(水)2015明治安田生命J2リーグ第25節
セレッソ大阪 2-1 ファジアーノ岡山 (19:04/金鳥スタ/8,047人)
試合写真・コメントなど 
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 前節に10試合ぶりの敗戦を喫してから、中3日。立て直しへ時間のないなかで訪れた、キンチョウスタジアムでのホームゲーム。J1自動昇格圏の2位以内入りへ、とにかく勝ち続けなければならないセレッソは、明治安田生命J2リーグ戦第25節・ファジアーノ岡山との一戦にて、2-1と今季初の逆転勝利。勝点を41と上積みしただけでなく、第4節以来、実に21試合ぶりに3位へ躍り出た。

 攻撃の要となるパブロが累積警告で出場停止。扇原貴宏も第23節・コンサドーレ札幌戦終盤での脳しんとうの影響で2試合連続欠場。ベンチには今回もトップ昇格組のルーキー3選手が入るなど、限られた陣容のなかでの戦いが続くセレッソ。スターティングメンバーには、これがリーグ戦初先発であり、公式戦先発は2014ヤマザキナビスコカップ決勝トーナメント準々決勝第1戦・川崎フロンターレ戦(9月3日)以来となる、吉野峻光が新たに加わった。

 開始早々の失点で敗れた前節の反省を受けて、試合の入り方は特にチーム全体として気をつけていたはずだった。しかし、雨が降り続き、ピッチに水たまりができるなどの悪条件もあってか、開始からぎこちなさもあったセレッソは、7分、またも一瞬の隙を突かれて先制を許す。セレッソから見た左サイドでの岡山ボールのスローインから、全体の足が止まってしまうとフリーでクロスを上げられ、岡山FW久保裕一にヘディングシュートを叩き込まれた。またも自滅からの失点でスタートしたこともあり、嫌な雰囲気も漂っていた。

 しかし、その暗雲をすぐに吹き飛ばしたのが、この日33歳のバースデーを迎えた桜の19番だった。10分、酒本憲幸が速いグラウンダーの右クロスを送ると、これは岡山GK中林洋次に弾かれたが、そこに待ち構えていたのが田代有三。ダイレクトで素早く右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。この1点で、セレッソは落ち着きを取り戻した。
 さらに、逆転弾は34分。丸橋祐介の自陣ハーフウェイライン付近からのフリーキックを田代がうまく前方に流すと、「狙っていたところで、そこにいいボールが来た」と反応したのが玉田圭司。GKとの1対1でも、経験豊富なストライカーは冷静に対応。利き足ではない右足できっちりとゴールにボールを流し込んだ。田代と玉田のホーム2試合連続弾で、前半のうちに逆転できたことが、チームに勇気を与えた。 

 その後、後半にかけても関口訓充や山口蛍を中心に、タフにハードに動き回って好機を作り続けた桜色の戦士たち。追加点を取れなかった課題はあるものの、球際での戦い、1対1での勝負でも奮闘を見せれば、ピッチだけでなくベンチも1プレーごとに総出で反応するなど、この試合ではチーム一丸で勝負へのこだわりを示した。途中、GKキム ジンヒョンが負傷交代するアクシデントもあったが、緊急出場のGK丹野研太も冷静に対応し、相手のパワープレーにもDF山下達也をはじめ、イレブンが身体を張ってゴールを死守。1点差を守りきり、雨のなかでも大きな後押しをくれたセレッソサポーターとともに、貴重な勝点3を勝ち取った。

「こういう試合で勝点3を取れたというのは、このチームにとってすごく大きいかもしれない」と述べたのは、決勝ゴールを決めた玉田。劣勢を跳ね返して白星を奪えたことは、成長の証と言えるだろう。まさにチームが一体となってつかんだこの1勝を弾みにして、後半戦の快進撃につなげたいものだ。
 そして、次節は勝点6差の2位・ジュビロ磐田との直接対決(7/26<日>18:00/ヤマハ)。「次が一番大事な試合。決勝戦みたいな気持ちでやりたい」と田代も言うように、桜色の戦士たちはすぐに大一番への臨戦態勢に入っていた。

文・前田敏勝