7月26日(日)2015明治安田生命J2リーグ第26節
ジュビロ磐田 0-1 セレッソ大阪 (18:04/ヤマハ/12,868人)
試合写真・コメントなど 
----------

 2位・ジュビロ磐田(勝点47)対3位・セレッソ大阪(勝点41)。勝点6差で迎えた自動昇格を争う直接対決は、磐田のホームゲームでは今季最多となる12,868人が見つめる大一番にふさわしい雰囲気の中、随所に激しい攻防が見られる白熱した一戦となった。

 試合開始20秒、染谷悠太がジェイを倒して与えたFKを上田康太が直接狙い、枠内に飛んだシュートを丹野研太がセーブして始まった試合は、開始5分間はセレッソがほとんどボールを握れない展開となった。ところが7分、ジェイに入ったボールを染谷と橋本英郎が挟んで奪い、そこからセレッソがショートカウンターを仕掛けると、パブロからのラストパスを受けた田代有三が見事なボールさばきからゴールを決め、セレッソが最初のチャンスで先制点を奪った。直後の9分にもセレッソに決定機。パブロが左45度からシュートを放つも、ここはポストに弾かれた。続く12分と13分にも両サイドからチャンスを作るなど、一気呵成に攻めたセレッソだが、以降は磐田に主導権を握られる。34分には駒野友一のクロスからジェイがヘッド。磐田にとって決定的な形であったが、染谷が体を寄せることでシュートはバーの上へ。前半、セレッソにとって最大のピンチを逃れることに成功した。

 後半、立ち上がりは田代が軸となってセレッソがリズムを掴むも、決定機を作るまでには至らずにいると、流れは再び磐田へ傾く。特に70分から80分にかけては、セレッソにとって1分ごとにピンチが訪れる、正念場の時間帯だった。守備のラインが深くなり、セカンドボールも相手に拾われ続けた。いつゴールを奪われても不思議ではない時間帯で輝いたのが、丹野だった。73分、川辺駿のブレ球ミドルを冷静にはじくと、77分にはジェイの決定的なヘッドもかき出した。終盤、「最後の最後で、当然、相手はさらにパワープレーをしてくると予想されたので、茂庭を入れた」(パウロ・アウトゥオリ監督)と守備固めに入ったセレッソに対し、磐田は最後まで怒とうの攻撃を繰り返した。95分のCKでは、GKカミンスキーもゴール前へ上がってヘディングする執念を見せるも、最後まで磐田にゴールを許さなかったセレッソが1-0で勝ち切った。

 試合後、山口蛍が「今日は、試合の8割方は相手にペースを握られた」と振り返ったように、セレッソは守勢に回る時間帯も長く、耐えに耐えた中での勝利となった。ジェイ、アダイウトンといった強烈な個性を持つ選手たちが攻撃を引っ張る磐田は間違いなく強かった。それでも山口は、「チーム全体で耐え切って勝てたことは意味のあること。今日の試合を勝つと負けるとでは全然違った」と続け、この勝利が持つ意味の大きさを語った。殊勲の決勝点を奪った田代も、「こういう勝ち方もできるチームが、本当に強いチーム」と胸を張った。試合前、「我々の技術、戦術、体力、精神力の全てを試合の中で限界に追い込むことが必要」と話していたアウトゥオリ監督も、「今日は試合で必要なメンタル、フィジカル、技術、戦術、全てにおいて、選手たちは申し分ないパフォーマンスを示してくれた」とチームを称えた。ジェイにシュート10本を打たれながらも最後まで決定的な仕事をさせなかった染谷と山下達也の両センターバック、最後の砦としてゴールを守った丹野はもちろんのこと、前半27分にアダイウトンが抜け出したところを全速力で戻った関口訓充や、攻守に効いていた橋本など、各選手が自分の持ち場でやるべきことを100%やった結果、セレッソは勝利を掴むことができた。ホームで行われた磐田との対戦では、先制するも、悔しい逆転負けを喫したが、今節、セレッソはその借りをしっかり返してみせた。

 試合前の予想通り、タフで激しい一戦となった今節を勝ち切ったセレッソは、これで2位・磐田との勝点差を3に縮めることに成功。自動昇格圏まであと一歩と迫った。ただし、「今日の試合は終わった。次の試合に向けて、またいい準備をしていきたい」とアウトゥオリ監督が話せば、「次で負けたら意味がない。これからどの試合も大事になってくる。今日の勝利をいい方向に持っていけるようにしたい」とは丹野。「まだ3位」(田代)のセレッソ。J1昇格という結果を手にするまで、一戦必勝の試合は今後も続く。

文・小田尚史