8月1日(土)2015明治安田生命J2リーグ第27節
愛媛FC 2-1 セレッソ大阪 (19:04/ニンスタ/7,177人)
試合写真・コメントなど
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 8月に入って最初の試合。明治安田生命J2リーグ戦第27節、セレッソ大阪はアウェイの愛媛FC戦に乗り込み、今季初の3連勝を目指して戦うも、待っていたのは悪夢の逆転負け。2位・ジュビロ磐田が勝利したため、両チームの勝点差は再び6に開き、セレッソは東京ヴェルディにも抜かれ、今節を終えての順位は4位となった。

 前節、磐田との大一番を制した後のアウェイでの試合。試合前の選手たちは、「緩く試合に入らないこと」を口々に話していた。さらに、先に失点すると、守備でブロックを固める愛媛を攻めあぐねる可能性もあったため、こちらが愛媛の隙を突いて先手を取ることも求められた。この2つの要素が前半はポイントとなる中、16分、丸橋祐介のスローインから田代有三が落とし、玉田圭司がドリブルでサイド深く切れ込み、マイナスの折り返しを関口訓充がしっかりと決めた先制点は、2つのポイントを同時にクリアする理想的な立ち上がりとなった。相手の勢いに飲まれて先制を許し、その後も主導権を握れなかった第24節・京都サンガF.C.戦を教訓に、前半のセレッソはしっかりとした戦いを見せた。ただし、前半の終了間際に愛媛の内田健太にサイドを2度ほど突かれ、若干の不安を残して前半を折り返すと、リードして迎えた後半は冷静に試合を運ぶことができなかった。

「ボールの動かし方もそうだし、あんまり頭のいいサッカーができなかった。リードした後に緩急を付けられなかった」と橋本英郎は試合を振り返る。リード時のゲームコントロールが、この試合における敗因となったことは間違いない。「自分たちがリードしている状況で、焦って攻めるのではなく、自分たちのペースでサッカーをしないといけないのに、急いで、急いで、というサッカーになってしまった」と田代も話す。それでも、60分に玉田が3人のDFをドリブルで振り切って左足でシュートを放つ。しかし、これは惜しくもポストを直撃。試合を決め切ることができなかった。
 直後の62分、愛媛は西田剛を投入。この交代を機に愛媛が攻勢を強めると、65分に右サイドの玉林睦実のクロスを逆サイドの内田が得意の左足をダイレクトで振り抜く。このシュートがゴールに突き刺さり、セレッソは同点に追いつかれた。その後、セレッソも秋山大地と楠神順平を同時に投入し、一時は持ち直した時間帯もあったが、最後は力を振り絞って決勝ゴールを目指す両チームによるカウンターの応酬となった。90+2分にセレッソがチャンスを逃すと、直後のプレーで愛媛が決勝点を挙げた。瀬沼優司がサイドを突破して中央へ折り返し、河原和寿が頭で合わせた執念のゴールだった。

 愛媛は、「仮に1点先に取られる展開になっても、崩れないでゲームを進めていこうと話していた」(木山隆之監督)と共通理解があったため、先制されてもチームとして崩れることはなかった。その上で、サイドのスペースを使ってクロスからシュートまでつなげるという、愚直とも言えるが、セレッソのウィークポイントを的確に突いた攻撃を何度も繰り返すことで、見事に結果につなげた。同点時の80分、自分たちのCKの場面で河原は、両手を広げて愛媛のサポーターを鼓舞。反撃ムードを高めた。夏休みということもあり、普段の平均入場者数の3倍近い7,117人で埋まったニンジニアスタジアムの愛媛サポーターも選手の奮闘に応えて最後まで力強く応援。逆転時はスタジアムが一体となり、大歓声に包まれた。 

 対照的に、遠く愛媛まで駆け付けた大勢のセレッソサポーター席からは、試合後に激しいブーイングも起きた。試合後のミックスゾーンも、重い空気に包まれた。「本当の力がまだ付いていない。いい教訓になったとか言っている場合ではない」と玉田が話すように、同じことを繰り返している以上、教訓という言葉を軽々しくは使えないが、試合後の選手たちの言葉からは、現状をしっかり認識し、改善点も把握している様子は伝わって来た。課題と真摯に向き合い修正すれば、残り15試合、自動昇格への可能性はまだ残されている。3試合ぶりにホームで行われる次節は、セレッソを勝点3差で追いかけるジェフユナイテッド千葉が相手。再び流れを変えるには、またしても激戦の匂いが漂うこの試合で、勝ち切る強さを発揮すること以外にない。

文・小田尚史