8月15日(土)2015明治安田生命J2リーグ第29節
セレッソ大阪 1-0 FC岐阜 (19:04/金鳥スタ/11,304人)
試合写真・コメントなど
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 今、セレッソ大阪に求められるものは、何よりも勝利という結果。8月に入って1分1敗と苦戦が続いていたが、今回の明治安田生命J2リーグ戦第29節では、FC岐阜を1-0と下し、3試合ぶりの白星を獲得。これで勝点を48に伸ばし、2位・ジュビロ磐田との差を3に、3位・東京ヴェルディとの差を1に、それぞれ縮めることができた。

 日本代表戦でEAFF東アジアカップ2015に参加していた山口蛍がチームに戻り、第23節・コンサドーレ札幌戦での脳しんとうの影響により別メニュー調整が続いていた扇原貴宏が約1カ月ぶりに戦列へ復帰。累積警告による出場停止が明けた丸橋祐介もスターティングメンバーに名を連ねた今節。前線では、2試合ぶりの先発となった玉田圭司が、加入後2試合連続起用となったエジミウソンと2トップを組んだ。

「立ち上がりが非常に良かった」とパウロ・アウトゥオリ監督も言うように、序盤から「みんながちょっと慎重すぎた」(ラモス瑠偉監督)という岐阜に対して攻勢をかけたセレッソ。10分という早い時間帯に先制することができた。玉田圭司の巧みなパスに、右サイドバックの酒本憲幸が反応してペナルティーエリアに飛び込むと、相手DFのファウルを受けPKを獲得。これを、サポーターの大声援を力に、玉田が冷静にゴールマウスのど真ん中に決めきった。クラブとしてのJ2ホーム通算200得点、玉田自身にとっては4試合ぶり今季8得点目となるゴールで、スタジアムの雰囲気も盛り上がり、ここからさらに畳みかけていけるかに思われた。

 しかし、「15分くらい過ぎてから、自分たちのサッカーができるようになった」(ラモス監督)岐阜とは対照的に、セレッソは全体的にチグハグさが目立ち、ミスも散見。戦前から警戒していた「難波(宏明)選手をターゲットにしていて、縦に速い印象」(染谷悠太)という岐阜の戦い方にも苦しめられた。また、前半12分に相手GKのパスミスを奪った玉田や、後半に入って78分に扇原の左クロスをゴール前で合わせるだけだったエジミウソンなど絶好のチャンスを決めきれず、追加点を奪えなかったことも「難しい試合」になった一因だ。
 さらには、両チーム合わせて8選手にイエローカードが出されるなど、球際のタフファイト、荒れた戦いにもなった。それでも、桜色の戦士たちは我慢強く戦った。後半には、71分に田代有三、73分にマグノ クルス、74分に吉野峻光と立て続けに送り込むと、田代の競り合いの強さやキープ力、吉野のドリブルやパスなどで再び流れを呼び込んだ。守備でも後半に何度かひやりとするシーンを相手に作られたとはいえ、「そういう時間帯は、センターバック、サイドバック、ボランチを中心に、しっかり守れた」と丹野研太。第26節・磐田戦以来、3試合ぶりの無失点勝利も達成することができた。

 今回の一戦を振り返れば、チームにとってベストとは程遠い内容だったことは否定できない。サポーターにとってもイレブンにとっても、ストレスのたまる試合になったかもしれない。だがしかし、「結果がすべて」(田代)のこの世界、「内容どうこうと言えるのは結果が出たからだと思うし、ポジティブにとらえて、次につなげたい」(丹野)。

 これで、ホームゲームは7試合連続負けなし(5勝2分)。
 J1自動昇格への目安と言われている『試合数42×2=勝点84』に到達するまで、残り13試合は「全部勝っていかないと、昇格は見えてこないと思う」(丸橋)というのが、セレッソの現状でもある。これまでは下位チームにも勝ちきれない試合が続いたが、決してよくない内容でも勝ちきったこの一戦を契機に「チームが右肩上がりに上昇していけるように」(丹野)、ここからクラブ一丸となってラストスパートを切っていくことが、J1復帰への道となる。

文・前田敏勝