10月4日(日)2015明治安田生命J2リーグ第35節
セレッソ大阪 0-1 アビスパ福岡 (17:04/ヤンマー/13,843人)
試合写真・コメントなど
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 今季も佳境に入ってきた10月、激しいJ1昇格争いの渦中にいるセレッソ大阪。2位・ジュビロ磐田と勝点5差の3位で迎えた、明治安田生命J2リーグ戦第35節では、勝点差がわずか1という4位・アビスパ福岡との上位直接対決に臨んだ。
 最近は2引き分けと、勝ちきれない試合が続いていたセレッソ。とにかく勝利が欲しいなか、今節ではスターティングメンバーを変更。MFマグノ クルスとDF田中裕介という今夏加入の2選手が、セレッソでのリーグ戦初先発を果たした。また、同じく今夏から桜色の戦士となったGK北野貴之も、今季初めてベンチ入りした。

 前半には、福岡にセレッソの右サイドから攻め込まれるシーンも散見したが、右サイドバックの田中やボランチの山口蛍らをはじめ、チームとして我慢強く守備を行い、得点を許さない。一方で、ピッチコンディションの状況もあり、ロングボールが目立つ攻撃にもなっていたセレッソだったが、丸橋祐介の積極的な攻撃参加や、丸橋と田中の両サイドからのクロスを効果的に使いながら、次第に好機も作り出す。しかし、こちらも得点に至らず、前半はともにスコアレスで折り返した。

 後半に入ると、攻勢を強めたのはセレッソのほう。しかし序盤にエジミウソンや丸橋にシュートチャンスが来るも、それらを活かせずにいると、57分に一瞬の隙を突かれた。福岡GK中村航輔のロングキックから、ボールは風にも乗ってセレッソ陣深くまでぐんぐん伸びていく。これをクリアしきれず、DFとGKの間に走り込んできたウェリントンに、そのままゴールを決められた。同じヤンマースタジアム長居で行われた第33節・水戸ホーリーホック戦の終了間際を思い起こさせるような、ロングボール一発からの失点で、与えてはいけない先制点を福岡に献上してしまった。

 失点の動揺もあってか、63分にも福岡のフリーキックからウェリントンにヘディングシュートを叩き込まれたシーンもあったが、このときは直前のゴール前のプレーで福岡にファウルがありノーゴール。失点を免れると、その5分後、セレッソにも立て続けに2度のビッグチャンスがやってくる。田中のスルーパス、そして山口のクロスから、それぞれ田代有三に決定機が訪れた。しかし、この日再三の好守が目立っていた福岡GK中村航にいずれも阻まれ、ゴールが遠い。

 75分には楠神順平、76分には吉野峻光を送り込み、何とか打開を図ろうとしたセレッソ。終盤にかけて福岡を押し込んだが、焦りもあってか、ゴール前をがっちり固める福岡守備陣を崩せない。「主導権は握っているが、結局ああいう形で失点して、なんだか相手のゲームになってしまったという印象がある」と染谷悠太も言うような、福岡の術中にはまり、0-1で惜敗。この結果、福岡に3位を明け渡し、セレッソは4位に後退。同日引き分けた2位・磐田との勝点差も6に開いてしまった。

「ほとんどウチのペースで進んでいたし、チャンスも作っていた。相手にチャンスもほとんどなかったので、本当にあの一発だけだった」と山口も振り返るような試合展開だっただけに、何とも悔やみきれない敗戦となったセレッソ。ただ、「決められるチャンスのところで決められなかった」(田中)ということも、敗戦の一因であったことは間違いない。
 大事な一戦を落としたことで、スタジアムにはセレッソサポーターのブーイングが響き渡った。J1自動昇格への道のりも、さらに厳しくなったと言わざるを得ない。それでも、「一番大事なのは最終的な順位。もちろん最後まで自動昇格を目指しながらやっていくことに変わりはない」と指揮官も前を見据えるように、セレッソは残り7試合での巻き返しを誓っていた。
 ここでJ1復帰への道をあきらめるわけにはいかない。桜色の戦士たちは、最後までファイティングポーズを取り続ける。

文・前田敏勝