10月10日(土)2015明治安田生命J2リーグ第36節
セレッソ大阪 1-0 ギラヴァンツ北九州 (16:04/金鳥スタ/8,581人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ戦にて、2週連続のホームゲームに臨んだセレッソ大阪。9月13日(日)の第31節・栃木SC戦以来となるキンチョウスタジアムでの試合では、前田和哉、小松塁、井上翔太といった、かつてセレッソのユニフォームに袖を通した選手たちが活躍する12位・ギラヴァンツ北九州を迎え撃った。この一戦では、日本代表戦のため不在の山口蛍に代わり、関口訓充が2試合ぶりに先発入り。そのほかのメンバーは、前節、アビスパ福岡戦と同じ顔ぶれが並んだ。

 セレッソは扇原貴宏をアンカーにおき、パブロも本来よりも守備的なタスクをこなすような形をとっていたが、「タカ(扇原)とパブロのところを狙っていたので、そこでプレッシャーをかけてショートカウンター的な形で攻撃しようと(していた)」と言うのは、古巣対決となった北九州FW小松。セレッソは序盤こそチャンスを作ったものの、中盤から前線にかけての連動性を生み出せず、ミスも重なって自陣でボールを失うケースも少なくなく、相手の術中にはまってしまう。

 それでも、21分の北九州FW原一樹の直接フリーキックを、セレッソGK丹野研太の好セーブでしのぎ、31分の北九州のショートカウンターでも、必死に追った田中裕介がプレッシャーをかけたこともあって小松のシュートは枠をわずかに逸れて失点には至らず。決してリズムがいいとは言えないセレッソだったが、「前半失点ゼロで抑えることができたので、それが結果的によかった」(丹野)。

 0-0で前半を折り返すと、先に動いたのはセレッソ。田代有三とマグノ クルスに代えて、後半開始から玉田圭司と秋山大地を投入。フォーメーションを従来の4-4-2に戻して立て直しを図ると、そこで桜を活性化したのが、第31節・栃木戦以来5試合ぶりにピッチに立った玉田だった。
「タマさん(玉田)が入って、すごくタメも作ってくれた」と扇原も言うように、攻撃に軸ができるようになると、その玉田のスルーパスやクロスからチャンスが生まれ出し、関口やパブロらも連動して攻めに厚みを持たせていく。
 すると迎えた60分、ついに均衡を破ることに成功。その起点も、桜の20番だった。右サイドで得たフリーキックから、玉田が絶妙のボールをゴール前に送り込むと、ファーサイドから飛び込んで、これを頭で押し込んだのは田中。今夏加入のナンバー5の殊勲の一撃に、セレッソサポーターの喜びが爆発した。

 その後、追加点を狙ったセレッソだったが、終盤のエジミウソンのシュートがGKの好守にあうなど2点目が遠い。逆に「勝っていないというチーム状況もあって、点を取ってから余裕のなくなったところもあった」(丹野)ため、北九州の反撃にあうシーンも。
 それでも、後半早々の染谷悠太の負傷退場により急遽ピッチに入った中澤聡太や、随所に身体を張ったディフェンスを見せた山下達也、終盤までハードワークを続けてチームに貢献した関口をはじめ、粘り強く戦った桜色の戦士たち。終了間際の北九州の攻勢にも耐え、第29節・FC岐阜戦以来となる無失点を達成し、1-0で勝利。4試合ぶりの白星で勝点を62とし、同日引き分けた2位・ジュビロ磐田との差を4に縮めた。

「最近は雰囲気が悪かったので、今日は絶対になにがなんでも勝ちが欲しかった」と言うのは、ヒーローとなった田中。「この勝利は次につながるし、勝利すれば自分たちへの信頼も戻ってくる」とパブロも胸を張れば、「自分たちはあと6試合全勝するだけだと思うし、それをまずやらなければなにも始まらない。自分たちを信じて勝ち続けていきたい」と述べたのは扇原。チームの誰もが、J1自動昇格圏内の2位以内入りをあきらめていない。この1勝を弾みに、ここからまたセレッソは一丸となって、今季最大の目標に向かって突き進んでいく。

文・前田敏勝