10月18日(日)2015明治安田生命J2リーグ第37節
ザスパクサツ群馬 2-0 セレッソ大阪 (15:04/正田スタ/6,916人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ第37節。1-0で勝利した前節のギラヴァンツ北九州戦 に続く連勝を狙ってアウェイでのザスパクサツ群馬戦に臨んだセレッソ大阪だが、待っていたのは0-2の完封負け。冷たい秋風が身に染みる痛恨の敗戦により、自動昇格は極めて厳しい状況となった。 

 今節は関口訓充をケガで欠き、田代有三と玉田圭司も先週は一部別メニュー調整を行うなど万全な状態ではない中、パウロ・アウトゥオリ監督は秋山大地を先発に抜擢。山口蛍、扇原貴宏とアカデミー出身選手を中盤に並べると、前線では楠神順平が第32節・大宮アルディージャ戦以来となる先発を果たし、パブロとエジミウソンとの3トップを組んだ。DFラインでは、前節の負傷で戦線離脱した染谷悠太に代わって中澤聡太が移籍後リーグ初先発を飾った。

 前半は、セレッソがボール保持率を高めて試合を支配する。3分、丸橋祐介のロングスローに対する群馬のクリアボールを拾った山口が胸トラップからポスト直撃のミドルシュートを放てば、13分には丸橋のCKから中澤がヘッドで脅かす。31分、扇原の正確なサイドチェンジを受けた楠神がドリブル突破からクロスでチャンスを作ると、最大の決定機は直後の32分に訪れた。中盤でボールを受けた山口がエジミウソンに当てて前に飛び出すと、エジミウソンの落としを受けたパブロが山口へ絶妙なパスを送る。GKと1対1になりかけた山口だが、相手DFもカバーに入ったことを察知すると、DFを引きつけてフリーのエジミウソンへ冷静にラストパス。誰もがセレッソの先制点を確信した瞬間だったが、エジミウソンが放ったシュートは無常にもポストを直撃した。

 ピッチを広く使った展開からサイドを突破する形、横に揺さぶった中で縦を突く形、指揮官がチームに求めていたものがピッチ上で具現化された前半は、「いい形で試合を支配して、チャンスも多く作った」(アウトゥオリ監督)。ただし、欲しかった先制点は奪えず。
 すると、後半開始直後、試合は暗転する。46分、群馬の川島將のロングスローに対して、今度はセレッソがゴール前でクリアし切れず、吉濱遼平のシュートを1度は山下達也が体に当ててブロックするも、跳ね返りを再度、吉濱に拾われ、ミドルシュートを決められた。試合前に危惧していた一瞬の隙。ただし、「ウチのホームの時と同じように、相手のロングスローから崩れてしまった」と山下も振り返ったように、ホームで行われた第8節・群馬戦で喫した失点と全く同じ形であるだけに、セレッソとして猛省すべき失点となった。

 このゴールにより、“攻めるセレッソ”と“守ってカウンターの群馬”の構図がより一層、明確になる中、ペースはホームチームへ傾く。「後半開始早々の思いがけない形での失点により、焦りにつながって、後半は攻撃の精度に欠けてしまった」(アウトゥオリ監督)セレッソとは対照的に、群馬は動きが活性化。前半は影を潜めていた江坂任の突破も出始める。
 セレッソは72分に玉田、73分に田代を立て続けに投入して1点を奪いに行くも、エジミウソンを含めてポジションと役割がハッキリせず、決定的な形を作れない。すると、87分にはカウンターを受けて群馬にPKを献上。試合を決定付ける2失点目を許してしまった。
90+2分には丸橋のクロスにエジミウソンが、90+3分にはパブロのパスから玉田が、いずれも決定的なシュートも放つも枠を捉え切れず。セレッソは最後まで1点が遠く、勝利を信じて正田醤油スタジアムに駆け付けたサポーターに歓喜の瞬間を届けることができなかった。

 今節は2位のジュビロ磐田と3位のアビスパ福岡が揃って勝利。セレッソは2位との勝点差が7に広がったことで、自動昇格は極めて厳しい状況となった。試合後、キャプテンの山口も「自動昇格をあきらめるわけではないけど、現実的な目標として6位以内に入ることもしっかりやっていかないといけない」と今後を見据えた。中澤も同様の見解を述べる。「ネガティブな感じではなく、J1昇格プレーオフを見据えて戦っていくことも必要。昇格という目標は1つ。どういう形であれ、昇格のためにやっていくことが大事」。まずは次節からのホーム2連戦。セレッソはしっかりと結果を残し、“J1昇格”という今季最大の目標へ向け、チームを立て直さなければならない。

文・小田尚史