11月8日(日)2015明治安田生命J2リーグ第40節
ツエーゲン金沢 3-0 セレッソ大阪 (13:03/石川西部/7,418人)
試合写真・コメントなど
----------

 シーズンも大詰めを迎えた明治安田生命J2リーグ第40節。セレッソ大阪は、4試合ぶりの勝利、そしてJ1昇格プレーオフ出場を確定させる勝利を目指してアウェイのツエーゲン金沢戦に臨んだ。

 前節から先発を7人変更したパウロ・アウトゥオリ監督。先週は別メニュー調整が続いた丸橋祐介に代わって出場停止明けの田中裕介が左サイドバックに入り、センターバックには茂庭照幸が第18節・水戸ホーリーホック戦以来、22試合ぶりの先発を果たした。また、右鎖骨骨折で戦列を離れていたGKキム ジンヒョンが、第25節・ファジアーノ岡山戦以来、15試合ぶりにゴールマウスに立ち、復帰戦に挑んだ。
 中盤と前線は、前々節のカマタマーレ讃岐戦と同じ布陣。扇原貴宏がアンカーに、橋本英郎と山口蛍がインサイドハーフに入り、3トップは右に楠神順平、左にパブロ、1トップにエジミウソンという並びになった。

 試合は、序盤からセレッソがボール保持率を高めるも、しっかりとセットされた金沢の守備を脅かすことができない。「パスは結構回されたが、何かキレイに崩そうという感じがあった。最後のところで怖さは感じられなかった」と金沢DFの作田裕次が試合後に述べたように、セレッソは金沢のブロックの外でボールを回すばかりで、チャレンジのパスが入らず、相手を慌てさせる連動性も生まれない。それでも22分、前節に続き右サイドバックに入った小暮大器が果敢に前に出ると、楠神とのワンツーからゴール前に進入、際どいコースへシュートを放てば、39分には小暮のクロスからエジミウソンがボレーで合わせてネットを揺らすも、ここはオフサイドの判定で得点は認められない。

 すると、直後の42分だった。第7節にホームで行われた金沢戦と同様、セレッソはまたしても隙を作ってしまう。高い位置でスローインを受けた秋葉勝へのマークが緩くなり、秋葉にミドルシュートを許すと、無回転気味に飛んだ軌道に対して、キム ジンヒョンが弾き切れず、ボールはゴールマウスに吸い込まれた。
 試合2日前、6日の全体練習後には、雨でスリッピ―なピッチコンディションを想定し、グラウンドに水を撒いた中でミドルシュートへの対応を繰り返していたキム ジンヒョンとしては悔やまれる失点ともなったが、「雨が降るとGKは取りにくくなる。それにどんな選手でも、しばらく公式戦に出ていないと、どこか不安な気持ちもあったと思う。いい感じに前が空いて、時間帯も前半終了間際だったので、思い切って打った」と話す、今節がJ通算400試合出場となったベテラン秋葉の優れた状況判断が、この得点を生み出したとも言える。

 ハーフタイムを挟んで反撃に出たいセレッソだったが、後半立ち上がりからつなぎの場面でミスも目立ち、反撃の機運が高まらない。すると、55分、57分と連続して失点を喫してしまう。前者は、CKによるセットプレーから、後者はクロスから中央で収められ、こぼれたボールをミドルシュートで決められた。
 その後、66分に玉田圭司を、69分に関口訓充を投入してなんとか挽回を図るセレッソ。「0-3で終わってしまうのではなく、チームとしてやることを最後まで貫くことが1つの収穫になると思った。1点ずつ取り返していきたい思いで試合に入った」という関口の気持ちはピッチで表現され、玉田も懸命にボールを収めつつゴールに迫ったが、ここ数試合と同様、流れの中からの1点が遠い。最後まで決定機と呼べるシーンを作ることができず、タイムアップの笛を聞く結果となった。

「相手が守ってきた中で、自分たち(の攻撃に)に怖さがなかった。守備になった時も、いい形でアプローチに行けなかった」と試合後に課題を述べたのは橋本。チーム状態についても、「ここ最近勝っていなくて、今日の結果だったので、一番下まで落ち込んだような気がする」と分析。その上で、「今度また逆転の発想になれればいいと思うけど、勝てない原因はいろいろあるので、それをちゃんと見つめる必要はある。切り替えて、次、頑張ろうという感じで、何も問題がなかったかのように振る舞っても、プレーオフになれば、その問題点は出てくる可能性はある。その辺をみんなの中で理解して、整理をして、次の試合できっちりやらないといけない」と問題提起を続けた。

 小暮の躍動感やキム ジンヒョンの復帰など、今後につながる明るいトピックもあった中で、セレッソにとって収穫の乏しい敗戦となった今節だが、他会場の結果により、J1昇格プレーオフ出場は決定した。雨の中、金沢まで駆け付けた多くのセレッソサポーターに対して、「申し訳なく思う」と話したのは関口だが、「選手は下を向くことをしてはいけない」と前を向く。リーグ戦の残り2試合。セレッソは、J1昇格という今季最大の目標が懸かるプレーオフに向けてポジティブに挑める雰囲気を、自らの手で作り出していく必要がある。

文・小田尚史