11月14日(土)2015明治安田生命J2リーグ第41節
V・ファーレン長崎 2-0 セレッソ大阪 (18:05/長崎県立/8,339人)
試合写真・コメントなど
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 今節のV・ファーレン長崎戦を迎えるにあたり、セレッソ大阪は第37節のザスパクサツ群馬戦 以降、4試合勝利がなく、チームには停滞感が漂っていた。前節のツエーゲン金沢戦 では、今季初の3点差を付けられての敗戦。心身ともにダメージを負った。それだけに、今節は再浮上の兆しを是が非でも掴みたい一戦だった。ところが─。結果は0-2での敗戦。内容的にも、前節をなぞるかのような試合展開となり、チームはさらに深く沈んでしまった。

 今節は、日本代表招集により山口蛍を、出場停止により扇原貴宏を欠いたこともあり、パウロ・アウトゥオリ監督は、橋本英郎をワンボランチに、前線を2トップと2トップ下で構成する[3-5-2]の布陣で臨んだ。即席のため、練習における紅白戦後も修正する話し合いは随所に行われ、「試合中も声を出していこうということで試合にも入った」(田中裕介)。難しい状況の中でも、選手たちは前向きな姿勢でこの一戦に臨んだ。

 前半は、長崎もそれほど前から来ることはなく、セレッソがボールを持つ時間も長かった。ただし、ここ数試合と同様、得点に至るまでの崩しを発揮することができない。40分、41分と立て続けに放った関口訓充のシュートが相手ゴールを脅かすも、枠を捉え切れず。「セレッソはブロックを作った守備をなかなか崩せていないゲームが多かったので、守備から入った」と敵将の高木琢也監督が試合後に語ったように、どちらかと言えば、長崎のゲームプランで試合は推移。その中で、セレッソは3バック間でのパスミスから相手に何度かチャンスを与えるなど、無失点で終えながらも、急造布陣であるがゆえの不安定さもちらつかせた前半となった。

 迎えた後半。「セレッソが後半に失点することが多いことを考えて、後半に勝負」という高木監督の号令の下、長崎のギアが一段上がった。どんな布陣にも長所と短所があるが、今節のセレッソのシステムでは、3バックの横、ウィングバックの裏が一つのウィークポイントだった。後半開始からこの弱点を徹底して突かれたセレッソは、55分、山下達也の縦に付けたパスを古部健太にカットされ、そのままドリブルで持ち込まれると、マークに追いすがった小暮大器も振り切られてクロスを上げられ、逆サイドから走り込んできた佐藤洸一にゴールに押し込まれた。がぜん勢い付く長崎に対して、65分、アウトゥオリ監督は中澤聡太に代えてプロ1年目、長崎県出身の沖野将基を投入。布陣を[4-4-2]に変更するも、その1分後、今度はセレッソにとっての左サイドを長崎に破られると、最後は逆サイドから飛び込んだ梶川諒太に決められ、2失点目を喫してしまった。

 堅守の長崎を相手に、ただでさえ重かった先制点を与えた上に、2点目も献上したセレッソ。10月以降、6試合でわずか2得点の攻撃陣に、2点差を跳ね返す力は残っていなかった。ベンチには切り札とも言える楠神順平も控えていたが、アウトゥオリ監督は最後まで交代枠を使うことなく、試合終了の笛を聞くこととなった。

 前節に続く複数失点での完封負けに、試合後、「弱い、の一言だと思う。何とかなる、誰かがやってくれる、という気持ちは捨てきらないといけない」と関口が苦渋に満ちた表情で話せば、玉田圭司は、「チームとして何をするかということが、相手のほうが徹底していた」と、チームとして一致団結したゲームプランに差があったことを認めた。「この試合に向けて、選手で話し合って、今日の試合をなんとか転機にしようと臨んだ中でこの結果なので、厳しいことは厳しい」と中澤も唇を噛みしめたが、泣いても笑っても、次節は今季のリーグ戦最後の試合であり、ホーム最終戦でもある。

「ホームでみっともない試合はできない」(関口)、「とにかく次、ホームでやれる。自分たちの力を証明しないといけない」(玉田)、「自信を持ってプレーオフに臨めるよう、最終節はしっかり戦わないといけない」(パブロ)。選手はそれぞれに、次節に向けた意気込みを語る。その先には、J1昇格が懸かったプレーオフが控えている。「次は我々のホームゲーム。1人でも多くの方にスタジアムに来てほしい。勝利を掴むために我々と共に戦ってほしい」とパブロが訴えたように、次節のホーム最終戦は、沈みがちのチームを奮い立たせるべく、今こそキンチョウスタジアムをピンク一色に染めたい。もう一度、J1昇格へ向けて戦う雰囲気をチーム全体で作ること。選手とサポーターが一体となった中で勝利を掴むこと。それが最終節にできることだ。今季、ここまで戦ってきたシーズンを無駄にしないためにも、セレッソに関わるすべての人たちが、それぞれの場所でできることをやり抜きたい。

文・小田尚史