3月6日(日)2016明治安田生命J2リーグ第2節
水戸ホーリーホック 0-1 セレッソ大阪 (13:03/Ksスタ/10,420人)
試合写真・コメントなど
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 開幕連勝を目指して迎えた敵地での水戸ホーリーホック戦。セレッソ大阪は、開始から優勢に試合を進めつつも無得点で前半を折り返そうとしていた45+1分、誰もが待ち望んでいた柿谷曜一朗の復帰後初ゴールが生まれた。

 キム ジンヒョンのゴールキックからだった。開幕戦とは異なり、風上に立った前半。
「ジンヒョンからも、『あの場所を狙ってくれ』とずっと(言われていた)。試合前から『今日は風もあって、蹴れそう』ということは話していたので」(柿谷)
「試合に入る前、曜一朗と『風も強いし、(DFラインの裏を)狙っていこう』という話もしていた」(キム ジンヒョン)
彼ら2人は、試合前からそんな話をしていたという。

キム ジンヒョンのキック精度の高さと、柿谷の裏へ抜ける巧さと決め切る力。2013シーズンの第31節・FC東京戦でも見せた、彼ら2人の持ち味が詰まったセレッソにとっての武器。「出し手と受け手がフィットしていた。クレバーであり、GKのキックの技術も高かった」。大熊清監督も手放しで称賛した。

 開幕戦で好セーブを連発し、チームを勝利に導く活躍を見せたキム ジンヒョンは、この試合でも安定感抜群。山下達也のパスミスから迎えた78分のピンチでも、体を張ってセーブ。仲間を助けてみせた。決勝点を決めた柿谷も、「出ている選手だけではなく、遠征に来ていない選手も含めて全員で1つになって戦っていかないと、J2は厳しいということはわかっている。こういう試合はまだまだ続いて行く。勝っていくことだけが本当に大事」と試合後に話すなど、プレーで、言動で、チームを引っ張っている。頼もしき桜のキャプテンだ。

 相手にバイタルエリアを使われたFC町田ゼルビアとの開幕戦で出た反省を踏まえ、先週の練習では、監督、選手たちが意識的に守備でのコミュニケーションを深める姿も見られた。そんな守備の修正力が問われたなか、チームは練習の成果を披露。中央を締めた山村和也とソウザのボランチコンビのバランスも良かった。59分のピンチでしっかりと中に絞ってクリアした松田陸のプレーもすばらしかった。

 また、始動以降、「残り5分、10分をしっかり戦い抜く」(大熊監督)ことの重要性も指揮官が訴え続けているなか、85分と86分にはソウザが相手のカウンターを受けそうな場面でしっかりと防ぎ、後半アディショナルタイムには、柿谷も2度のプレスバックでチームを助けた。最後まで走り抜き、勝ち切る強さを表現した点も、開幕アウェイ2連戦の大きな収穫だ。

 一方で、攻撃面では向上の余地は残った。69分の杉本健勇の決定機など、決め切るチャンスを逃す場面も見られ、後半はシュートの数自体、この1本に終わっている。試合後の会見で、「相手を裏返すまで、攻撃の回数を増やすことで、カウンターの回数や崩していく回数も増やしていきたい」と大熊監督も述べたように、攻撃の手数や質、畳み掛ける迫力は、今後に向けて高めていきたいポイントだ。

 ともあれ、勝ちながら課題を修正していけることはすばらしいこと。敵地で迎えた開幕2連戦を連勝でスタートさせた事実はとてつもなく大きい。次節はいよいよ待ちに待ったホーム開幕戦。相手は、セレッソと同じく開幕連勝中のザスパクサツ群馬だ。群馬には昨季2敗している。借りを返す絶好の機会となる。
「まだ2勝しただけ。これからもっと、勝ち試合をみんなと共有していきたい。アウェイ2連戦で体もみんな疲れていると思うので、しっかり休んで、ホーム開幕に最高のコンディションで臨めるようにしたい」。柿谷キャプテンはそうきっぱりと言い残し、引き締まった表情でスタジアムをあとにした。

文・小田尚史