4月3日(日)2016明治安田生命J2リーグ第6節
セレッソ大阪 2-1 ジェフユナイテッド千葉 (16:04/金鳥スタ/10,719人)
試合写真・コメントなど
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 前節、ツエーゲン金沢戦 での引き分けにより開幕からの連勝が止まったなかで、迎えた4月最初の明治安田生命J2リーグ戦。今季のチームの真価が問われる、絶対に負けられない試合となった第6節・ジェフユナイテッド千葉との一戦。大熊清監督も「自分たちが一歩ステップアップするためには、(今節は)非常に重要な試合になる」と一層気を引き締めたなかで、ホーム・キンチョウスタジアムでの連戦に臨んだ。 

 今回はこれまで5試合連続固定されていたスターティングメンバーが変更。前節、負傷交代を強いられた茂庭照幸に代わり、指揮官曰く「統率力と攻撃面でのフィード力」を求めるべく、センターバックの一角に田中裕介が今季初出場、初先発を果たした。

 試合では開始早々の8分、杉本健勇と柿谷曜一朗のコンビプレーからチャンスを切り開き、リカルド サントスが絶好機を迎える。左足のシュートはゴールポストに弾かれ、そのこぼれ球に詰めた柿谷のシュートも枠を捉えられなかったが、「前半に限って言うと、攻守にやりたいことができた」と大熊監督も言うように、前節の屈辱を晴らすべく、最初の45分はセレッソの動きのよさが際立ち、立て続けにチャンスも生まれるなど完全にゲームを支配。
 すると32分、ブルーノ メネゲウのコーナーキックから、最後はソウザがヘディングでゴールに押し込み、今季から桜のボランチとして奮闘を続ける新6番の加入後初得点で、先制に成功する。

 さらに、その6分後にも、ブルーノ メネゲウの突破からフリーキックを得ると、「蹴ったときにはいい感触だった」という丸橋祐介の精度の高い左足からのボールに、またしてもヘッドで合わせたのは、ソウザ。貴重な追加点を獲得した。「1試合2度のヘディングシュートでのゴールは、今までなかった。今日は自分たちのチームを助けることができて、素直にうれしい」(ソウザ)。
 その後も千葉を押し込み、前半だけで13本のシュートを放ったセレッソは、2-0でハーフタイムを迎えることができた。

 このままの流れでいくかと思われたが、後半、状況が一変する。開始から1分も経たないうちに、千葉の攻勢を受けて失点。「選手・スタッフ、みんなで確認して、後半入りの10分を大事にしようということだったが、スローインからの流れのなかでああいう失点があり、非常に苦しい展開にした」と大熊監督も反省するように、すぐさま1点差に詰め寄られ、相手に反撃への勢いを与えたことで、セレッソは守勢に回ることが多くなってしまう。

 それでも、昨シーズンとの違いは我慢強さが際立つ守備。この試合でも、相手の決定機をGKキム ジンヒョンが立て続けにファインセーブでしのげば、「最後は田中(裕介)が身体を張ったり、よく守っていた」(大熊監督)と、本職ではないセンターバックでもチームのために必死に戦ったナンバー5の頑張りなどもあり、相手に同点弾を許さない。後半途中からは関口訓充、終盤には澤上竜二と、今季初出場となる扇原貴宏もピッチに投入し、ハードワークを続けた桜色の戦士たち。3点目こそ奪えなかったが、2-1で勝ちきり、2試合ぶりの白星をJ1昇格争いのライバルから獲得。勝点を16に伸ばして、首位の座にも返り咲いた。

 桜の季節に、「Cerezo(サクラ)満開」をスタジアム一体となって桜色のサポーターとともに響かせることができたセレッソ。しかし、この1勝に浸っている暇はない。「初戦のような緊張感とか、最終戦のようなそういう出し切るメンタリティーとか(中略)、そういう気持ちで1試合1試合やろうということで、シーズンを始めている」と大熊監督も述べるように、今は目の前の1試合に全力を尽くすのみ。「あまり今の勝点や1位とかは頭にない。サッカーの中身や強くなること、こういう(拮抗した)試合を突き放せる力をみんなでつけたい、つけるというところに注力して、しっかり次に準備をしたい」と、チームはさらなる躍進へ、前を見据えていた。

文・前田敏勝