4月9日(土)2016明治安田生命J2リーグ第7節
清水エスパルス 0-2 セレッソ大阪 (18:34/アイスタ/15,083人)
試合写真・コメントなど
----------

 昨季のJ1チームである清水エスパルスのホームに乗り込んで迎えた今節。セレッソ大阪は、J1自動昇格を争うライバル相手に今季初の2点差を付けての0-2で勝利。開幕からの負けなしを7試合に伸ばすとともに、首位もがっちりキープした。

 最終的には快勝と呼べるスコアで試合を終えたセレッソだが、前半は、攻勢に出る清水に対してボールをつなげず、思うようなサッカーをさせてもらえなかった。組織立った守備から奪ったボールは縦に当ててサイドに展開、シュートまで持ち込むなど、ピッチで自分たちの狙いとするサッカーを披露したのは清水だった。それでも、セレッソの選手は球際で競り負けず、ピンチになりそうな最後の場面では山下達也と田中裕介を中心としたディフェンス陣が体を張って守った。

 前半の中盤以降も、前からの守備が少しハマらず、清水に縦パスを通される時間帯も続いたが、相手のシュートはすべてキム ジンヒョンの正面。ここでも、決定機と呼べるシーンは相手に作らせなかった。自分たちの流れではない時間が続いても、焦れずに耐えることができるのが、今季のセレッソの強み。「前半の相手の時間帯でも、『ここは我慢しよう』とみんなで声を掛け合ってやれていた」と試合後に田中が振り返ったように、メンタルも強く持ち、決して慌てることはなかった。

 そんな清水のゲームとも言えた前半だが、両チーム通じて最もゴールに近付いた瞬間は、28分に柿谷曜一朗がシュートを放った場面。松田陸のクロスに合わせた柿谷のシュートはゴールに吸い込まれる手前で、相手DFに惜しくもクリアされた。

 スコアレスで迎えた後半も、ゴールに迫る回数が多かったのは清水。オープンな展開になり始めた60分過ぎからミッチェル デュークが再三シュートに持ち込むも、山下が背中でブロックするなど、ゴールは割らせない。そんな守備陣の奮闘に応えて先制点を奪ったのは、今季、ここまで無得点のリカルド サントスだった。69分、キム ジンヒョンのゴールキックを杉本健勇が競って流れたボールを収めてゴール前に向かうと、山村の隙を逃さない縦パスを受けた瞬間、生まれたスペースで左足を振り抜いた。GKも届かないギリギリのコースに決めた後、一目散にリカルド サントスがセレッソサポーターで埋まったゴール裏に駆け寄ると、ウォーミングアップ中の選手も含めてチームメートはみな、背番号11を祝福。先週の紅白戦後もただ一人、ダッシュを行い、コンディションを高めるなど、惜しみない努力を重ねてきた新助っ人の来日初ゴールに、歓喜の輪は広がった。現在のチームの雰囲気の良さを示す、良い光景だった。

 82分には待望の追加点も生まれた。決めたのは、先制点をアシストした山村。スローインの流れから松田がクロスを上げ、リカルド サントスと競った相手DFのクリアを拾った山村がワントラップから右足を一閃。アウトにかかったシュートは見事な軌道を描き、ファーサイドのゴールネットに突き刺さった。今季初めて2点のリードを奪ったセレッソ。90+1分には玉田圭司が今季初出場も果たした。

 前節のジェフユナイテッド千葉に続き、今節も難敵・清水を撃破したセレッソ。IAIスタジアム日本平での勝利は、2004年5月以来、実に12年ぶりのこと。第5節でツエーゲン金沢に引き分けて開幕からの連勝が『4』で止まった後の、非常に大きな連勝となった。長丁場のJ2リーグ戦、これから先、まだまだ山場は待ち構えていると思われるが、J1自動昇格に向けて開幕ダッシュに成功したことは確か。

 それでも、試合後の大熊清監督は、「過去の試合を見ると、こういう試合の後のメンタルの準備が大事になる。今日の試合は忘れて、また次の試合、サポーターと共に、いい試合ができるように集中して準備したい」と話し、手綱を締め直した。今季の目標を達成するまで、目の前の1試合1試合で「全力を出し切って」戦い抜く姿勢は、次節以降も変わらない。

文・小田尚史