4月17日(日)2016明治安田生命J2リーグ第8節
セレッソ大阪 1-1 ギラヴァンツ北九州 (16:05/ヤンマー/18,809人)
試合写真・コメントなど
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 明治安田生命J2リーグ戦にて2度目の3連勝、そしてクラブタイ記録となる開幕8戦負けなしに挑むべく、第8節ではギラヴァンツ北九州と対戦したセレッソ大阪。昨シーズンの最終戦、12月6日のJ1昇格プレーオフ決勝以来となる、今季初のヤンマースタジアム長居での公式戦に臨んだ。
 その試合に先立って、14日に発生し、その後も熊本、大分をはじめとする九州地域に甚大な被害をもたらしている「平成28年熊本地震」にて亡くなられた方々の御冥福を祈って、黙祷が捧げられた。そして、両チームの選手たちは喪章をつけて試合を行った。

 試合に入ると、前半から、連敗脱出に燃える北九州の積極的な動きに押されたのか、セレッソはリズムを作れず、ミスも重なり、劣勢となるシーンも散見される。「たぶん戦術的なことなのだと思うが、ほとんど前に出てこない。そこを徹底してくる」と大熊清監督も言うような北九州のサッカーに苦戦するなかで、次第にチャンスも作り出したのだが、それを生かせずにいると、前半終了間際の44分、直接フリーキックを北九州FW原一樹に決められ、今季初めて相手にリードを奪われる。「ある意味(相手の)ワンチャンスでしたが、苦しい時間帯に決められた。これは非常に反省すべきことだった」(大熊監督)。

「自分たちが『起きる』のがちょっと遅かった。相手にゴールを許して、ハーフタイムにみんなで『もっと“起きて”やろう!』という話もした」と言うのは、リカルド サントス。そのとおり、後半になると、前半から一転、攻勢を繰り出していった桜色の戦士たち。しかし、丸橋祐介やリカルド サントスらの決定機もことごとく止められ、さらに、「あれだけペナルティーエリアの中を固められたら、崩すのは難しかった」(柿谷曜一朗)。

 そのなかでも、58分に関口訓充を投入し、チームにダイナミズムが出てくると、75分には山村和也に替わって玉田圭司、85分には田中裕介に替わって澤上竜二が入ったように、攻撃的な選手を次々と送り込んだ。終盤には山下達也も攻撃参加するなど、リスクを負ってでも相手に圧力を加え続けたセレッソ。
 それがようやく実ったのは、アディショナルタイムの90+2分だった。右サイドの関口の左足から放たれたクロスに飛び込んだのは、ボランチのソウザ。右足で合わせたボールはゴールネットに吸い込まれ、土壇場でついに同点に追い付いた。その瞬間、ヤンマースタジアム長居は地鳴りのような大歓声に包まれた。
 そのあともわずかな残り時間で逆転を狙ったセレッソだったが、結局1-1のままタイムアップ。悔しい引き分けに終わるも、負けなしは継続。勝点を20に乗せ、首位の座もキープした。

「最後まで同点にと、途中から入った選手もどうにかしようと選手たちが気持ちを集約し、また本当に多くのサポーターが来て(声援で後押しして)くれた、そういう気持ちが1点を生んだ」と大熊監督。負けなかった意義は大きいが、一方ではホームで勝てなかった悔しさもあり、「ちょっと下位のチームにとりこぼしているところが今はあるので、そこは反省しなきゃいけない。今日の勝点1には、満足しちゃいけない」と関口。この課題を修正しなければ、今後も厳しい戦いが待っていることだろう。だからこそ、「今日の引き分けの意味は、次の試合に勝って示したい」と柿谷も言う。この勝点1を、負けなかったことをプラスにするためにも、次節の戦いが本当に重要になる。

文・前田敏勝