4月23日(土)2016明治安田生命J2リーグ第9節
北海道コンサドーレ札幌 1-0 セレッソ大阪 (13:04/札幌ド/21,640人)
試合写真・コメントなど
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 クラブタイ記録となる開幕8戦負けなしで迎えた敵地での北海道コンサドーレ札幌戦。セレッソ大阪は、前節のギラヴァンツ北九州戦の反省を生かし、前半から積極的に攻撃に出る。前からプレスに来ない札幌に対して、セレッソはリズム良くボールを回して、両サイドバックの松田陸と丸橋祐介も積極的に攻撃参加。高い位置で押し込んだ状態で、再三、CKも獲得した。相手のカウンターを受けそうな場面では、16分にソウザが、21分には柿谷曜一朗が、素早いプレスバックでしっかり寄せて、ピンチの芽を摘んだ。攻守ともに札幌を制圧する形で前半を進めていったセレッソだが、札幌の守備を崩すまでには至らず、決定機と呼べる場面は作れなかった。

 ボール支配率を高めながらも先制点を取ることができなかった前半を経て、後半、セレッソは、より札幌ゴールに迫る形を作る。50分にはブルーノ メネゲウがドリブルで相手ペナルティエリアに進入して決定的なシュートを放つと、53分にはソウザ、松田、杉本健勇、リカルド サントスとテンポ良くパスがつながり、最後は杉本がシュートを放つも、ここは相手DFにブロックされた。次第に得点の匂いが漂ってきた一方で、「後半は攻め急ぎまではいかないけど、自分たちのミスからリズムを崩してしまった」と試合後に大熊清監督も振り返ったように、セレッソは悪いボールの失い方から札幌にカウンターを許し始める。「後半は、前半以上に相手は明らかに(攻撃の)3枚を前に残して、ということを徹底してきた」と田中裕介。後半の中盤以降、札幌に何度もカウンターから裏に抜けられたセレッソだが、田中と山下達也のセンターバック2人のカバー、そしてGKキム ジンヒョンの判断良い飛び出しなどで、何とか失点は回避した。

 カウンターの応酬のような一進一退の攻防が繰り広げられる中、時間の経過とともに、両チーム、選手交代も活性化。セレッソが攻撃に変化を加えるべく関口訓充と玉田圭司を投入すれば、札幌も上原慎也と稲本潤一をピッチに入れ、中盤での球際や走力を落とさない采配に出る。

 迎えた82分、試合は動いた。セレッソは、丸橋のパスを受けた柿谷がソウザに落としたパスがミスになったところを稲本にカットされると、そのまま最前線まで駆け上がっていく稲本を捉えることができない。札幌の息の合った素早いパス交換から一気にゴール前まで迫られると、内村圭宏のパスに抜け出した稲本にダイレクトでシュートを許し、ゴールを決められてしまった。それまで何とかゴールは割らせず耐えていた守備陣だが、「失点場面については、瞬間的に相手の攻撃の枚数が多かった」と山下も悔やんだように、相手の攻撃が一枚上手だった。

 前節同様に先制点を与えてしまったセレッソ。大熊監督は直後の85分に田中に代えて澤上竜二を投入。DFラインの枚数を減らして前線に人数を増やし、パワープレーに出た。ただし、思うように前線にパスを届けることができず、この策は機能しない。高さのあるボランチ2人も前に上がることで、柿谷が下がってパスの出し手となるも、クロスはことごとく相手DFにクリアされた。アディショナルタイムにはGKキム ジンヒョンも前線に駆け上がって攻撃に加わるも、守備を固める札幌ゴールをこじ開けることはできず、タイムアップ。

「一進一退のどっちが点を取ってもおかしくない試合。90分、波がある中で、自分たちはいい時間帯で決め切れずに逃してしまったことで、相手に流れを渡してしまったのかな、とも思う」と試合を総括した田中は、同時に、「どこかで負けることもある。そこまで悲観することなく、今日出た課題を一人ひとりが整理して、フレッシュな状態でまた次に向かうことが大事」とチームの思いを代弁した。

 前節と今節、それぞれシュート20本と15本を打ちながらも1点しか奪えなかった攻撃の課題は持ち越しとなったが、「今日は、負けはしたが、チームは90分戦って勝利を目指していた。自分たちは正しい道を進んでいる」とはソウザ。開幕9戦負けなしというクラブ新記録の達成こそ叶わなかったが、「顔を上げて、しっかり練習して、中5日で来る次の試合(4/29<金・祝>vs京都サンガF.C.@金鳥スタ)に勝つことだけを考えたい」(リカルド サントス)と、連戦が続く今後に向け、チームは前向きに気持ちを切り替えて札幌を後にした。

文・小田尚史