4月29日(金・祝)2016明治安田生命J2リーグ第10節
セレッソ大阪 0-2 京都サンガF.C. (16:04/金鳥スタ/14,883人)
試合写真・コメントなど
----------

 ゴールデンウィーク初日となった4月29日、昨シーズンとまったく同じ明治安田生命J2リーグ第10節に、セレッソ大阪は隣県のライバル、京都サンガF.C.との『関西ダービー』に臨んだ。多くのファミリー、子どもたちも含めて、1万4,883人のサポーターで埋め尽くされたキンチョウスタジアム。選手入場時にはバックスタンドにビッグフラッグも広がり、桜色に染められた素晴らしい雰囲気のなかで、試合が行われた。この一戦で、セレッソは前節からスターティングメンバーを変更。ケガから復帰した茂庭照幸が5試合ぶりに先発し、関口訓充が今季初めてスタートからピッチに立った。

 1分1敗と勝利から遠ざかっていたセレッソとしては、この試合こそ、先手をとって試合を優位に運びたかった。しかし、そのプランは開始早々に崩れる。8分、京都3本目のコーナーキックにて、アンドレイに右足ボレーシュートを叩き込まれ、失点。早々に「1点を先に入れられたことによって、さらに(京都の)守備のブロックの位置が下がった」(大熊清監督)ことで、最近2試合と同じく、相手に守備を固められる状況を作ってしまった。

 その失点直後にも、京都のロングスローからピンチを招くなど、苦戦が続いたセレッソ。それでも、30分に山村和也の果敢なボールカットから速攻をかけたところをきっかけに、桜色のチームにようやく勢いが出始める。続く31分には関口がドリブルシュートで相手を脅かせば、34分には松田陸の右クロスから好機があり、36分にも柿谷曜一朗との連係から丸橋祐介が右足でシュート、41分にも柿谷、杉本健勇とつないで、最後はブルーノ メネゲウがゴールを狙うなど、反攻を強めていく。前半終了間際には丸橋のコーナーキックからソウザに2度決定機も訪れた。しかし、前半でのシュート10本、コーナーキック11本をいかせず、0-1でハーフタイムを迎える。

「内容は悪くない。しっかりプレーしていこう」(大熊監督)と、後半での逆転を狙ったセレッソ。それでも、後半も開始わずか3分で追加点を献上。またしても京都MF堀米勇輝のコーナーキックから、今度は本多勇喜にヘディングシュートを許し、ボールはセレッソGKキム ジンヒョンの手の届かない、絶妙のコースに決められてしまった。セレッソとしては、この2失点目でますます「試合も難しくなった」(ブルーノ メネゲウ)。

 そこで事態を打開すべく、52分には今季初めてベンチスタートとなったFWリカルド サントスを投入。「彼の高い位置での起点というのを期待した」(大熊監督)なか、その5分後にはリカルド サントスの前線での粘りから、PKを獲得する。ここで反撃の狼煙をあげたかったのだが、リカルド サントス自身が蹴ったPKは、京都GK菅野孝憲の足でのセーブにあい、得点ならず。京都の石丸清隆監督も言うように「ゲームがこちら(京都)にうまく転がった」展開に、結果的にはセレッソが進めてしまうことになる。

 68分には扇原貴宏、78分には田中裕介と、ビルドアップ力のある選手を送り込み、なんとか1点を取りに行ったセレッソ。柿谷、杉本、リカルド サントスらがゴールに迫るシーンも多く作るも、守備をしっかり固めた相手に、シュートをなかなか決めきれない。結局、今節も1点が遠く、0-2で今季ホーム初黒星、痛恨の今季初となる連敗を喫し、J1自動昇格圏内からも転落。攻守に精彩を欠いたこともあって、スタジアムにはセレッソサポーターからのブーイングも響いた。

「特にホームでたくさんの方に見に来てもらったにもかかわらず、負けたことはすごく責任を感じている」と述べたのは、柿谷。ただ、試合はすぐにやってくるだけに、ここで気落ちしてはいられない。「次はチームとして、絶対に勝つという気持ちをもって、しっかり準備をしてやっていく」(柿谷)、「ここからアウェイゲームが2試合続くので、なかなか厳しい戦いになるとは思うが、連戦になるし気持ちをここでしっかり切り替えて、チーム一丸となって頑張りたい」(田中)。この屈辱を晴らすためにも、ここからの再生力が、セレッソに問われるところ。だからこそ、5月からの反撃で、「我々は『生きている』というのをしっかり見せたい」(ブルーノ メネゲウ)ものだ。

文・前田敏勝