5月3日(火・祝)2016明治安田生命J2リーグ第11節
松本山雅FC 0-1 セレッソ大阪 (13:04/松本/17,302人)
試合写真・コメントなど
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 ゴールデンウィーク真っ只中の5月3日(火・祝)に行われた2016明治安田生命J2リーグ第11節。セレッソ大阪は、Jリーグ初対戦となる松本山雅FCのホーム・アルウィンに乗り込んでの一戦となった。

 試合前から強風が吹き付けるなか、前半、風下に立ったセレッソは劣勢の展開を強いられる。ボールポゼッションを松本に許すと、8分、9分、12分、15分、17分、23分と立て続けにCKを与えてしまう。前節の京都サンガF.C.戦で2失点しているCK。この試合での修正が問われたなか、松本は複数のパターンでセレッソの守備を揺さぶってきたが、セレッソは山村和也が何度もしっかり跳ね返すなど、相手にフリーで合わせる機会を作らせなかった。風に乗って揺れながら飛んできた14分の喜山康平のミドルシュートもGKキム ジンヒョンが阻止。
「風がすごく強かったので、なかなか相手陣地でサッカーすることができなかった。めちゃきつかった」(田中裕介)という序盤を無失点で耐え抜くと、迎えた25分だった。

 それまでの流れを一変するゴラッソが、セレッソに生まれた。2試合連続無得点の状況を打破したのは、やはりこの男。エースであり、キャプテンの柿谷曜一朗だった。相手のセットプレーの流れから左サイドにポジションを取っていた杉本健勇が相手のスライディングをフェイントで外してクロスを上げると、ファーで待ち構えたリカルド サントスがヘッドで折り返す。この左右の揺さぶりで相手DFがボールウォッチャーになったところを、真ん中でフリーになった柿谷が鮮やかなジャンピングボレーでゴールに突き刺した。
 勝利がなかった直近の3試合は、いずれも相手に先制を許して難しい展開となっていただけに、セレッソにとってどうしても欲しかった先制点。大熊清監督が「芸術的」と評したゴールによって、「後ろもやられちゃいけないという思いがさらに強くなった」と田中は振り返る。 

 エンドの変わった後半。今度はセレッソが風上に立つかに思われたが、南アルプスの風は気まぐれだ。後半になると次第に風力は弱まり、時に突風が吹き付けていた前半とは環境も少し変化した。
 後半も松本のセットプレーから試合の幕は上がる。47分のFKはGKキム ジンヒョンがパンチで弾き、その流れから迎えた相手のシュートもリカルド サントスがブロック。50分のCKでは、再びリカルド サントスがクリアした。
 この試合、最大のピンチは66分。松本にとって9本目のCKだった。それまでと異なり、ショートコーナーで変化を付けられたセレッソは、山本大貴に決定機を許す。それでも、至近距離で受けた山本のシュートをキム ジンヒョンが好セーブ。事なきを得た。

 セレッソ1点リードで試合は推移していく中、67分には関口訓充を投入してカウンターの脅威を与えつつ、73分には丸橋祐介に代えて茂庭照幸をDFラインに入れ、守備の強化にも努めた大熊監督。「あとから入った選手もスムーズに試合に入ってくれて、気持ちの入った試合をやってくれた」と評価したように、関口は得意のドリブルで何度もボールを前に運び、茂庭も抜群の強さを誇る1対1で相手のチャンスを封じ込めた。 
 試合終盤、攻撃の枚数を増やし、ボールをつなぎながらもパワープレーに出てきた松本の攻撃に対しても、「最後までうまく対応できた。あまり相手にもチャンスを与えなかったと思います」とキム ジンヒョンが話したように、セレッソは全員が体を張って、松本にゴールを割らせなかった。「両チームとも非常にパワーを使った」(大熊監督)激しくタフな一戦は、セレッソが0-1で勝利した。

 3試合勝利なし、連敗で迎えた今節は、セレッソにとって乗り越えなければならない今季序盤の試練だった。そんな一戦を前に、試合前から大きな声援で選手を鼓舞するなど、セレッソサポーターもチーム一丸の雰囲気作りに努めた。今季最多の17,302人が詰めかけ、緑一色に染まったスタジアムの中で、アウェイ席を埋めた桜のサポーターの存在感も抜群だった。「やっぱりサポーターもこの連敗で悔しい気持ちがあったと思うし、この試合は絶対に勝たないといけないと感じていたんじゃないですか」(キム ジンヒョン)という熱のこもった応援に、「とても頼もしかった」と柿谷は話した。

 セットプレーにおける守備。2試合無得点が続いた攻撃。それぞれの課題を克服したセレッソが連敗を2でストップし、4試合ぶりに勝点3を獲得。松本のホーム・アルウィンにて、高らかに勝利の凱歌を挙げた。

文・小田尚史